天橋立

*風のメルマガ「つむじかぜ」721号より転載

連休を利用して天橋立に行き、元伊勢籠神社(もといせこのじんじゃ)を参拝してきた。本殿は、小振りだとはいえ伊勢神宮と同じ神明造で、ついうっとりしてしまうほど美しい。元伊勢というのだから伊勢神宮ができる以前に、伊勢神宮と関連した由来があるということだ。

第10代、崇神天皇の御代、天照大神と倭大国魂神を居所に祀っているのが原因で国が乱れたとして、天照大神を倭笠縫邑(やまとかさぬいむら)にうつして、皇女豊鍬入姫命(とよすきいりひめのみこと)が奉斎することとなった。倭笠縫邑とは奈良県磯城郡田原本町新木、桜井市内などの説がある。

その後、皇女倭姫命に後を託したが、倭姫命は天照大神の鎮まるべきところを求めて、各地を巡幸し伊勢国に辿り着き 五十鈴川の畔に天照大神を祀ったというのがかの倭姫命巡行である。五十鈴川の畔にたどり着くまで、なんと90年もかかったというから気の長い話である。元伊勢籠神社の丹後の地は、倭姫命の最初の巡行地である。以上の内容が、日本書紀に書かれているそうだ。

元伊勢籠神社は、神代と呼ばれるはるかな昔から豊受大神をお祀りして来たが、この倭姫巡行で、天照大神を4年間にわたって祀ったので、天照、豊受の両神が揃い、元伊勢神社と呼ばれるようになったというわけだ。元伊勢神社は、京都福知山にもある。大阪から来るときに福知山で京都丹後鉄道に乗り換えた。ちょっと降りてお参りしてくればよかったと少々後悔した。

午後は舞鶴の「舞鶴引上記念館」に寄りたかったので時間がなく、宮津の駅からタクシーでお参りした。8,000円近くかかったが、運転手のおっちゃんの説明では、「ここは電車の本数が少なくて不便なので、舞鶴あたりからでもタクシーでお参りに来る方もいらっしゃいますよ」という事だ。きっと数万円はかかるに違いない。信心とはそういうものかもしれない。

しかし、確かに不便である。電車は1時間に1本くらいだろう。しかも、京都丹後鉄道で西舞鶴まで出て、JR舞鶴線に乗り換えて東舞鶴へ出る。舞鶴の主な観光地も「舞鶴引上記念館」も東舞鶴にあるからだ。

天橋立は、写真通りとしか言いようがなく感動も何もない。昔の人は、実物をみてこれが天橋立か! と感動したに違いない。今は普通の観光で感動するのは、昔よりはるかに難しくなっている。股覗きじゃ感動できないですよね。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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