旅先でいい写真を撮りたいなら


ほんとうはもっとかっこいい遊牧民のバターさん
(先日のモンゴル出張にて)

いまどき旅行に行くときにカメラを持っていかないという人はほとんどいないだろう(もちろん例外はいるが)。たとえ、ちゃんとしたカメラを持っていなくても、最近のスマホは「通信機能付きデジカメ」と呼んでもいいくらい高機能なので、旅行中まったく写真を撮らない、ということは非常に稀だろう。

旅先の美しい景色や、印象に残ったモノを、記憶だけでなく記録にも残したい!とシャッターを切る。最近はブログやSNSに写真をアップして、みんなに見てもらいたいという目的もあるので、観光地に行けばあちこちでシャッターの音がする。

でも、その写真をあとで見てみると「なんだかイメージが違うなあ」と思うことも多い。一緒に旅行した人が撮った写真を見て「本当に同じ景色を見てた?」、「この人いつこんな表情してた?」と驚くこともよくある話だ。自分が旅した地域の写真集を眺め、「やっぱプロはすげーなー」と一人嘆いてしまう…。

個人的な話だが、旅行会社に勤めていると、公私ともにあちこち出かけることが少なくないが、いままで「思ったとおりの写真」なんてほとんど撮れた試しがない。残念ながら、私に写真の才能はあまりないようだ。


さて、ここで紹介するのは今年の7月末に発売された『撮り・旅! 地球を撮り歩く旅人たち』(ダイヤモンド社)というフォトブック。
写真7に記事3くらいの割合で、旅と写真に見せられた旅人たち(主に若い30-40代の写真家と写真好きの旅人)の作品と、旅と写真に対する彼らの「想い」を聞いたインタビュー記事が掲載されている。どの写真も美しく、印象的で、もし私が同じ場所に同じ時間にいたとしても、同じ写真が撮れるとは思えないものばかり。単純に写真集としても見ていて楽しいし、インタビューも各写真家の「僕らが旅に出る理由」が感じられて楽しい。なによりも編集した山本高樹さん自身の「旅は写真なしでも成り立つけれど、写真があることで何かが変わる、そのことを知って欲しい。」という想いがヒシヒシと伝わってくる。(ちなみに山本さんには『風通信』への寄稿やラダックのイベントなどでお世話になっています)

インタビュー中「旅で写真を撮る人へのアドバイス」として、何人かの写真家が

「好きなように、心のままに撮ればいい」

と言っている。でも、これは「持てる者」のセリフだよな。だって、みんな「心のままに」撮った写真に納得できないから悩むんだから。普段から「どういう構図がいけてるか」、「こんな感じの写真が撮りたい」と考えていて、それを実現する技術やセンスを磨いているからこそ、いい写真が撮れるんだろう。それを忘れて文字通り「好きなように」撮ってもいい写真は撮れない。文字通り読んだら痛い目に遭う。

そんな中でチベットを撮っている写真家の松尾純さんの言葉がとても正直だと思った。

「旅の間は、写真のことしか考えてないですね。すべてを写真の目線で見ていると思います。(中略)すっごい疲れますよ。でも写真のためには根性出さなきゃ、と思うんです。(中略)写真のためなら、自分にできることは何でもすると思います」。

そう、やっぱりいい写真を撮るためには「ただなんとなく」ではダメで、根性出さないといけないのだ。

で、巻末にその松尾さんによる旅の中で必ず役に立つ写真撮影テクニック」の解説があるのだが、これがとても実用的。
ちょっとした工夫なのに劇的に写真が変化がする撮影テクニックが満載で、このコラムだけでも値段の3分の1くらいの価値があるかも。旅先で写真を撮る全ての人にお勧めできる本です。

来週からまた添乗にでるので、少しはマシな写真が撮れるように、この本をまじめに読んで写真を撮る「根性」を高めておこうと思う。

<参考>
『撮り・旅!』公式Facebookページ
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