
日本のウイスキーの父・竹鶴政孝が修行した地として知られるキャンベルタウン
スコットランド西岸、キンタイア半島の先端に位置するキャンベルタウンは、豊かな歴史、潮風が香る自然、そして個性際立つウイスキーによって、独自の魅力を放つ港町です。かつて「世界のウイスキーの首都」と呼ばれたこの町は、小さな規模ながらも奥深い文化と風景が広がっています。そしてこの地は、日本のウイスキーの父・竹鶴政孝が学び、後に日本のウイスキー文化を築く礎となった場所でもあります。今回は、キャンベルタウンの魅力を「歴史」「自然」「ウイスキー」の三つの視点から紹介しましょう。
🏰港町の歴史~海と風に育まれた物語
キャンベルタウンの歴史は、海運、石炭資源、そしてウイスキー産業の発展と深く結びついています。かつては30以上の蒸留所が稼働し、世界中にスコッチを送り出していたこの町は、港町としての役割に加え、蒸留所の熱源として欠かせなかった石炭の供給地としても重要な位置を占めていました。また、中世の石碑や教会跡は、町が長きにわたって人々の生活と信仰の場であったことを物語っています。
1920年代、この地を訪れた竹鶴政孝は、スコットランドの伝統的なウイスキーづくりを学び、日本にその技術と精神を持ち帰りました。キャンベルタウンの風土、石炭に支えられた産業、そして人々の暮らしは、彼の人生と日本のウイスキーの誕生に深く影響を与えたのです。
🌿港町の自然~潮風と緑が織りなす風景
キャンベルタウンの自然はスコットランドの港町ならではの穏やかさと力強さを併せ持っています。潮風が吹き抜ける海岸線、緑豊かな丘陵、そして静かな湾が、訪れる人々を癒してくれます。春には野花が咲き誇り、町の周辺は色彩豊かな風景に包まれます。
竹鶴政孝もこの地の自然に魅了された一人でした。彼が歩いた丘や見渡した海は、ウイスキーづくりにおける「風土の力」を実感させるものであり、日本の蒸留所設立においてもその記憶が活かされました。霧が立ち込めることも多いこの地域は、その幻想的な雰囲気が多くの芸術家や詩人にインスピレーションを与えてきました。
🥃港町のウイスキー~キャンベルタウンの魂が詰まった液体の芸術


キャンベルタウンの代名詞といえば、何と言ってもウイスキーです。かつては「世界のウイスキーの首都」と呼ばれ、30以上の蒸留所が林立していましたが、時代の波に揉まれ、栄枯盛衰を繰り返した末に、現在稼働しているのはわずか3つ。それでもなお、それぞれの蒸留所が潮風を感じさせる個性的なモルトを生み出し、キャンベルタウンらしさを力強く伝えています。
日本のウイスキーの父・竹鶴政孝が学んだヘーゼルバーン蒸留所は、20世紀初頭に閉鎖されてしまいましたが、現在はスプリングバンク蒸留所がその名を受け継いで、今もなお伝統的な製法を守り続け、手作業による丁寧な工程を貫いています。彼がこの地で記した「竹鶴ノート」は、日本のウイスキーづくりの教科書となり、後にニッカウヰスキーの誕生へとつながりました。
ウイスキーは単なる酒ではなく、キャンベルタウンの歴史、自然、そして人々の営みを体現する文化そのものです。その魂は、海を越えて日本のウイスキーにも深く息づいています。
🧭まとめ
キャンベルタウンは、時間の流れがゆったりと感じられる場所です。古代から続く歴史、潮風が香る自然、そして心を熱くするウイスキー。それぞれが互いに調和しながら、訪れる者を深い感動へと誘います。この港町を訪れることは、ただの旅行ではなく、五感と心を満たす体験なのです。そして、竹鶴政孝がこの地で得た知識と情熱は、今も日本のウイスキー文化の中で生き続けています。
関連ツアー
日本のウイスキーの父・竹鶴政孝の足跡を辿るツアー
大人の修学旅行~命の水(ウイスキー)の聖地と日本ウイスキーの父・竹鶴政孝の足跡を辿る旅~
(予告)【8名様限定予定】アイラ島からキャンベルタウン スコットランド・ウイスキー紀行10日間