
イギリス王室御用達ウイスキーとしても有名なラフロイグ蒸留所
📍 基本データ
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | ラフロイグ蒸留所(Laphroaig Distillery) |
所在地 | スコットランド・アイラ島・ポートエレン |
創業年 | 1815年(ジョンストン兄弟によって設立) |
所有企業 | ビームサントリー(Beam Suntory) |
年間生産量 | 約330万リットル |
仕込水源 | キルブライト湖(Kilbride Dam) |
発酵槽 | ステンレス製6基 |
蒸留器 | 初留3基、再留4基(計7基) |
モルティング | 自家製麦約15%、残りはポートエレン製麦所から調達 |
熟成樽 | 主にファーストフィルのバーボン樽 |
王室御用達 | 1994年、チャールズ皇太子(現チャールズ3世)より認定 |
ファンコミュニティ | 「Friends of Laphroaig」に登録すると、敷地内に1平方フィートの“土地”が贈られる |
🕰️ 歴史的背景
ラフロイグ蒸留所は、1815年にドナルド・ジョンストン(Donald Johnston)とアレクサンダー・ジョンストン(Alexander Johnston)兄弟によって設立されました。彼らは余剰の大麦を使ってウイスキー造りを始め、次第にラフロイグ独特の強烈なピート香が評価されるようになります。1890年には正式に蒸留所として認可され、英国国内のみならず海外へも販路を拡大しました。その独自性は医療用としても認められ、薬局で治療酒として用いられるほどでした。
1920年代にはイアン・ハンターが経営を担い、設備の増強と国際展開を進めます。彼の後継としてベッシー・ウィリアムズが登用され、女性蒸留所長として品質と伝統を守りながらブランド力を高めました。1994年にはチャールズ皇太子から英国王室御用達の称号を授かり、その名声は不動のものとなります。
今日では「Friends of Laphroaig」というファン制度を通じて、世界中の愛好家とつながる象徴的な存在として、アイラ島の歴史と風土を語り継いでいます。
🥃 特徴と製造工程


ラフロイグのウイスキーは、強烈なピート香と独特のヨードの風味で世界中のウイスキーファンを魅了しています。この独特の香味は、アイラ島の湿地で採取されたピート(泥炭)を用いた伝統的な製法によって生まれます。現在も蒸留所では希少なフロアモルティング(床での製麦)を一部で採用し、自らの手で大麦を発芽・乾燥させています。乾燥にはピートを焚いて煙を吸収させる工程が欠かせず、ラフロイグらしいスモーキーで薬品的な香りが形成されるのです。
熟成には主にアメリカンオークのバーボン樽が使われ、バニラや甘みのニュアンスがウイスキーに加わります。代表的な10年物はラフロイグのスタンダードとして長年親しまれており、さらに容量の小さい樽で熟成することで風味の濃縮を図った「クォーターカスク」や、シェリー樽でフィニッシュをかけた「PXカスク」、アイラフェス限定の「カーディス」など、豊富なバリエーションも魅力の一つです。
こうした伝統と革新が融合したラフロイグの製造工程は、職人のこだわりと島の自然が生み出す、唯一無二のシングルモルトへと結実しています。
🌟 魅力と世界での評価


ラフロイグは、その唯一無二の個性で「好きか、嫌いか、はっきり分かれるウイスキー」として知られています。強烈なピート香と薬品のような風味が特徴的で、一度味わったら忘れられない印象を与えるため、世界中に熱狂的なファンを生んできました。一般的なウイスキーのイメージとは一線を画し、その大胆な味わいは人々の記憶と感情に深く刻まれるのです。
こうしたブランドの魅力を支えるのが、「Friends of Laphroaig」というユニークなファンコミュニティの存在です。この会員制度では、登録するとラフロイグ蒸留所の敷地内の1平方フィートの土地が「貸与」され、証明書を受け取ることができます。訪問者はその場所を確認しに行く楽しみがあり、ファン同士がつながりを持ち、蒸留所の歴史や文化を共有する場として機能しています。
蒸留所では、テイスティングツアーや製造工程の見学などの体験型プログラムも充実しており、ウイスキーを単なる飲み物ではなく「アイラ島そのものを味わう旅」として提供しています。風に包まれ、霧に溶け込み、潮の香りに満たされるその体験は、五感を通じてラフロイグの世界観を体感する、まさに“記憶に残る一杯”を生み出すための演出なのです。