自転車で南台湾みちくさ三昧

2007年2月9日(金)〜2月12日(月)4日間  文●嶋田 京一(東京本社)

台湾南部の海岸沿いを地元の人に混じって路線バスや船、鉄道を利用して移動します。行き当たりばったりのバックパッカー的要素に自転車旅行の楽しさをドッキング、折畳み自転車を駆使して公共交通機関に自転車を積み込み大きく移動、到着したらすぐに自転車でこぎだそうという新しい試みのツアーです。歩いてまわるには距離があり、車でまわるには大げさな場所へは自転車の機動力が最適です。そしてそんな場所はえてして観光客がめったに訪れず、それでいて実はディープな魅力に溢れています。屋台巡りにも最適!?


きらめく東隆宮/東港
きらめく東隆宮/東港

「タシデレ!」「ナマステ〜」と挨拶しながら自転車をこいだ昨年のヒマラヤ縦断に続く、自転車海外企画の第2弾。今回は、台湾南部の高雄周辺の田舎町を「ニイハオ 〜」そして屋台に寄るたんびに皆で「ハオチー!」「好吃!」を連発。

折畳み自転車と公共交通機関を組みあわせ、路線バスに乗ったり、安宿に泊まったり、薄いビニールが敷いてあるテーブルの食堂で食事をしたり、ツアーでありながら自転車バックパッカー旅気分。メニューをみても理解できず、頼んでも何がでてくるかわからない、揚げ句のはてには折畳んだ自転車を抱えて駅のホームをあせって走ったりなんて、けっこうヒヤヒヤものの体験をしたりするのですが、この行き当たりばったりのスリルや楽しさをお客様にも楽しんでもらいたい。あえてそういうことをやってみるのがこのツアーの醍醐味。

そのへんのところは、参加者の皆様も心得て下さっていたようで皆さん積極的に、臨機応変に、そして柔軟に楽しんでおられたように見えたのが頼もしかった!
何よりも同行講師の丹羽さん自身が楽しんでおり、その楽しさがしっかりと皆さんに伝わっていて、参加された皆さんの楽しみたいという『思い』と、丹羽さんのこの楽しさを皆さんに伝えたいという『思い』が相乗効果となり、旅が進むにつれ楽しさが増します。
昨年の自転車でヒマラヤ縦断ツアーと同様、昨日の感動が今日の感動によって塗り替えられていく旅でした。

市場ってワクワクしますよね
市場ってワクワクしますよね
列車が来た!
列車が来た!

早朝自転車散歩で早朝太極拳!?
早朝自転車散歩で早朝太極拳!?
次はどこに寄ろうかなー
次はどこに寄ろうかなー

旅の後半、早朝の自転車散歩では路地裏を曲がって曲がって、、と進む丹羽さんが振り向くと皆の姿が消えている! そして見上げた視線の先、向こうの露店の前では皆さんが自転車を降りて停っている。そんな光景がうれしい丹羽さん。
皆さんが、ただ自転車で付いてきてくれるのではなく、面白いものがあったらどんどん停まり、自分たちで面白いものを発見してもらいたい。そう願う丹羽さんが待ち望んでいた瞬間の到来です。

中華のファーストフードです
中華のファーストフードです

そのお店では、通勤途中の地元の人が寄っては何かを頼み、夫婦らしき二人がササッと鍋をふるうとあっという間に様々な中華朝食が出来上がり、大概の人はそれを容器に入れてもらい持ち帰っていきます。
壁に貼られた漢字の品書きを見ながら「あれはきっと昨日食べた湯麺だよね」「さっきの人が買っていったあのクレープっぽいのに野菜がはいったの美味しそう!」と、ホテルに付いている朝食よりもこっちがいいっ。という目をしている皆さん。加えて、 店のご主人がまたいい顔をしていて、その優しげな笑みをたたえたなんともいえない表情にほだされてつい、何か頼みたくなってしまいます。
案の定、誰かがおごそかに注文するのをきっかけにキックオフ! オーダー開始! 頼んだものを皆で分けあい、ちょっとずついろんなものを試せるのを良いことに、あえて人と違うものを頼めるのもツアーのよいところ。そして、ロスタイムに入ろうかというゲーム終盤、朝食を買いに来た地元の人が頼んだ焼きそばがあまりにも美味しそう! これ食べたいんだけど、どうしようか….と店の主人と私の間を目が行ったり来たりしている丹羽さん。するとご主人がなにやら焼きそばをもうひとすくい皿に盛り、丹羽さんに差し出す….。「どうぞ」ということらしい。勝利の瞬間! あの時のうれしそうな丹羽さんの笑顔が忘れられません。こうして我々は焼きそばにもありつけ、無事に試合終了。ホテルに戻り朝食を(また)食べたのでした。

最終日。飛行機に積む為に、折畳んで梱包した自転車たちを見つめながら、これがあるだけでこんなに旅が面白くなるんだからなぁ。とつぶやいた丹羽さんの言葉が印象的でした。この小さな折畳み自転車が広げてくれる旅の可能性は無限だ! と感じた今回の旅。

今後も、こうした自転車を使った新しい旅のスタイルを提案していきます。
そして同様に、近くて短くて楽しい自転車ツアーのシリーズ化も計画中です。
乞うご期待!! 再見!


自転車で海外へ!

→ 風の自転車ツアー一覧

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