学生時代の友人

つむじかぜ176号より


4/5(土)の昼過ぎに、大学時代の友人が、事務所を訪ねてくれた。「東京へ出てきたから、一回、お前の事務所に寄っておこうと思ってな。女房も一緒だ」彼は、現在、郷里の名古屋に住んでいる。大学を出て、地元の繊維会社に勤めたが、随分前にリクルートに鞍替えし、今は、同社の中でも、社員教育を扱う子会社にいるらしい。私には、その凄さなどさっぱり分からないが、その世界では結構売れている本も何冊か書いているらしい。

奥さんとも、大学時代に何回か会っているから懐かしい。何で、こんな美人が、、、と思うくらい不釣合いである。しかし、男女の関係とはこんなものだ。他人のことに文句を言っても始まらない。

今回、「風の旅行社物語」をお祝いだからと沢山買ってくれたので、いつになく、ちょっと丁寧に迎えた。「余ったら買い取るから」と言ってはみたが、なんだか、借りを作ったみたいで、私の心は少々むずがゆい。

彼は、私の山の先生である。先生というには少々大袈裟だが、彼も、山岳部出身でもなかったから、雪の降らないシーズンに、秩父や多摩、丹沢などにしばしば出かけた程度だ。所詮気楽な山登りだったが、男二人で登るのだから、欲求不満の塊みたいなもので、速く登ることだけが目的みたいな、今から考えれば、随分味気ない、やけくそな登り方だったと思う。

秋の秩父縦走なんてほとんど人に逢わないから、静かな奥深い山の雰囲気を味わえて最高なのだが、道に迷うと誰も助けに来てくれない様な気がしてまう。実際、迷いに迷って、日がすっかり暮れてから山小屋に着いたりしたこともある。所詮、素人の山登りだからペース配分も下手だから、途中で動けなくなったり、とにかく無茶苦茶な山行だったと思う。しかし、妙に楽しかったことは間違いがない。

山の技術もなにも教わった感覚はないが、山に出かけることは教わったし、山の素晴らしさも多少なりとも味わった。彼がいなかったらネパールへトレッキングに行くことはなかったかもしれない。それは事実である。「お前は、俺のおかげで、今があるんだぞ。だろ。俺が教えたんだ」彼もこういうことを言わなければ、なかなかいいやつなんだが、まあ、実際そうだから感謝している。

もう少しして、二人とも、現役を引退したら、二人でネパールにでも行ったらそれなりに楽しいだろうなと最近は思う。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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