アンコール再訪!

つむじかぜ179号より


今、シュムリアップに来ています。日本旅行業協会(JATA)の仕事で、アンコールワットの観光事情を調べるのが目的です。ホテルのマネージャー、現地の旅行会社、観光省、航空会社などにあって ビデオカメラを回しながら取材して歩きます。

ここ、アンコール遺跡の玄関の街シュムリアップには、現在、バンコク、シンガポール、クアラルンプール、雲南、広州、ソウルなどから毎日直行便が飛んでいます。なんと、年間、この街に、110万人の外国人観光客がやって来るのです。何もなかった田舎の村に、ホテルが次々と建ち、お土産物屋、レストランなどが増えて、街は、活況を呈しています。土地の値段は跳ね上がり、物価も、かなり上がっています。

今、アジアでは、大旅行時代が始まっています。かつて、海外旅行の受け手国であった、韓国、中国、台湾などの国々は、いまや、送り手国に変貌し、中国にいたっては、2008年は海外旅行者数が4000万人(日本は1730万人)を超えようとしており、近い将来、一億人以上になるだろうといわれています。韓国も、毎年20%近く伸びており、近いうちに日本が抜かれると予測されています。既に、ここアンコールでは、日本は、韓国に抜かれています。日本も含めてこうした国々が、アジアの観光地に集中することで、競争が 激化するとともに、環境へのインパクトが懸念されています。こうした問題を、調査しにきたというわけです。昨日、オールドマーケットに行って、地元の人たちにインタビューしました。

「何年この商売をしていますか」
「12年です」
「観光客が急激に増えていますが、何か変わりましたか」
「ものの値段は高くなりました」
「この銀製品は、どれくらい高くなったの?」
「倍くらいですね」
「じゃあ、利益もたくさん出るようになったでしょう」
「いいや、仕入れ値も高くなったから、同じですよ」
「観光客が増えたからたくさん売れるでしょう」
「いいや、店も増えて競争が激しくなったから、やりにくくなってしまいました」
「生活は、楽になりましたか」
「子供が学校に行くようになってお金が掛かるから、苦しいよ」

あんまり地元の方々には、観光は恩恵がないみたいですね。
(つづく)

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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