アメリカと世界の未来

つむじかぜ216号より


オバマ新大統領の演説の上手さが評判だ。演説もさることながら、人を引きつける力はどんなスターもかなわない。250万もの人を集め、全世界の人々をテレビの前に釘付けにした。

それにしても、何故だろう。まだ、なんの実績もない未知数の大統領なのに。私ですら、日本の政治を飛び越え期待してしまう。オバマ大統領は世界を変えるかもしれないと。あるのは、たった一つ。未来に向けた大きな希望だ。しかし、集まった聴衆のまるで神にでもすがるような期待感は、逆に、自らが持つべき「新たな責任」の重さの自覚に変化した。オバマ氏は、「I」ではなく「We」を使う。アメリカの未来は、「We」が切り開く。

考えてみれば、21世紀に入ってから世界は、9.11同時多発テロという衝撃の中で、民族、宗教の対立が激しくなり、平和な日本に住む私たちにとって、世界は「怖い」という印象だけが肥大化した。特に、若い人たちが海外旅行に出なくなった理由として「怖い」という回答が上位を占めるようになったのもその所為である。嘗て、海外旅行は、若者にとっては、憧れであり自らを成長させる一大イベントであり希望であったのに。

世界中の人々が、オバマ大統領の誕生で希望が見えてきた、と感じている。誰しも、自分の果たすべき責任を棚上げにするつもりはないだろうが、やはり、大統領の大きな力にすがりたくなるのが心情だ。それを責めることは出来ない。どうか、アメリカという国の枠を超え全人類のために、その希望を一歩一歩でいいから叶えてほしい。新任大統領の評価は100日後だそうだが、そんな短い時間じゃ分らない。もっと時間をあげて欲しいと思う。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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