ノーベル賞の権威とは?

つむじかぜ313号より


ノーベル賞の授与式の豪華絢爛さに改めて驚きながら、『ノーベル賞の権威とは?』と改めて考えてしまいました。歴代の日本人18人の受賞者の内、物理学賞と化学賞が各7人、計14人で圧倒的多数ですが、1人だけ平和賞をもらった方がいらっしゃいます。1974年に受賞された佐藤栄作元総理です。

佐藤栄作氏は、1964年の11月から1972年7月まで3次に亘って内閣を組織し総理大臣を務められました。ちょうど、私の小学3年生から中学3年生に亘る6年間という成長過程に在任されていたので、私にとっては、『総理大臣=佐藤栄作』という特別な感覚があります。

受賞の理由は、日本の核武装に反対し、首相在任中に核拡散防止条約に調印したことでしたが、当時、高校3年生だった私の記憶では『何故?』という疑問が、私ばかりか多くの日本人の中にあったように思います。

私は、当時の英語の時間に、スピーチの題材としてこのことを取り上げ、さほど上手くもなかったはずなのに先生に大変褒められたことを覚えています。きっと英語の出来栄えではなく、題材に先生が共感してくれたような印象でした。

もちろん、今回の劉暁波氏ほどの問題にはなりませんでしたが、ノーベル平和賞はとかく物議をかもすことが多く、大変、難しい賞だ思います。

21世紀に入って、アジアの経済発展が顕著になる中、次第に欧米の価値観とアジア的な価値観がぶつかり始めたように思います。人間を個として認め、その権利や義務を論じてきた欧米と、個人より血縁や家を重んじてきたアジアでは大きく価値観が違います。

さて、日本は、どうでしょうか。明治維新以降、唯一、日本だけがアジアの中でいち早く欧米的な価値を受け入れてきました。しかしながら、アジアの台頭に、今、日本は、むしろたじろいでいるように見えます。

江戸末期に日本にやってきた欧米列強は、武士階級が形而上学的な思考性をもっていたことに驚愕しています。ところが、最近は、薄っぺらな功利主義がはびこっているように思います。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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