商売の基本について思う

つむじかぜ410号より

師走は、忘年会がつづく。とは言っても、常に飲む機会が多いので特別、師走だからどうだ、ということではない。しかし、やっぱり忘年会は平素とは違って酒席も盛り上がる。その結果、ついつい酒量が増えてしまう。

昨日は、結局帰れず、中野のカプセルホテルに泊まる羽目になってしまった。2階がサウナ風呂で3階がカプセルホテル、4階が個室のホテルになっている。受付のおじさんは、愛想なく小声でぼそぼそっと必要なことしか言わない。

「泊まれますか?」
「靴箱の鍵。上ですか下したですか。」
「上。サウナ風呂はやってる?」
「24時間。ロッカーの鍵。サウナはそこ行って、右の階段降りて。カプセルは、あっち。」 

まあ、こんな調子だ。「いらっしゃいませ!」もなければ、笑顔もない。何か注意でもあるかといえば何もなく、非常口の案内もない。「火事が起きたらどうなるんだろう?」と不安が一瞬よぎるが、眠気が優って、どうでもよくなってくる。まあ、妙に明るい笑顔で迎えられても照れてしまうから、こんな対応で充分だ。

このカプセルホテルは、弊社より古い。設備も昔のままだ。今時、あんな映りの悪いテレビは何処にもない。館内の全体のイメージは灰色。何処となく煙草の匂いがする。それでも、掃除は行き届いていているし、シーツは洗濯されていて清潔だ。充分である。

今流の経営で言えば、ホスピタリティーがなくて失格だと言われるかもしれないが、このカプセルホテルは、弊社よりも古く、着実に経営を続けている。決して最上ではないが、何時来ても、一定のクオリティーは保ち続けている。別に、カプセルホテルに癒しを求めているわけでもないし、一晩、横になって眠れればいいのだから、これでいい。「一定のことを反復する」これこそが、商売の基本かもしれない。

年に何回かは、こういうことになるが、カプセルでなくたって、どこかホテルに泊まればいいじゃないかと言われそうだ。帰巣本能というか、習慣というのか、何の抵抗もなくカプセルホテルに行ってしまう。事務所の床で寝袋で寝ることに比べれたら快適この上ない。

さあ、今日は、何もないから仕事が済んだら早めに家にかえって自分の布団に寝よう。明日も、土曜日も飲みがつづくが、程ほどにしておこう。そう、来週もあるのだから。 

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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