エジプト気球墜落事故

つむじかぜ419号より


「え!また事故か」と絶句した。エジプト南部ルクソールで気球が 墜落し、19人もの多くの方が亡くなられた。内4人は、JTBグランドツアー&サービス(以下、グランドツアー)の企画したツアーに参加した日本人だった。操縦士の操縦ミスではないかと報道されているが、詳細はまだ不明だ。炎上してからも随分長い時間、気球は飛んでいたようだ。その間のことを想像すると居たたまれない気分になる。お亡くなりになった方々のご冥福をお祈りする。

弊社でも、モンゴルで同じように、オプショナルツアーで気球ツアーを販売している。現地の実施会社の同意書にお客様は現地で署名することになっているが、もし事故が起きたらと考えると他人事ではない。

オプショナルツアーとは、「ツアーの中のツアー」と言われ、本隊のツアーの日程中にあっても、別契約のツアーの事である。その実施が、本隊のツアー実施会社と同じ場合と違う場合がある。今回は後者で、主催していたのは、エジプトの旅行会社であるスカイクルーズで、この気球ツアーの実施責任はスカイクルーズということになる。グランドツアーは、紹介者という立場だ。

グランドツアーは、気球ツアーの申込みに当たっては、参加者に、怪我のおそれがある ことや各自旅行傷害保険へ加入することなどが書かれた同意書にサインをしてもらうようしていた。また、その同意書には、グランドツアーは一切の責任を負わないと明記されていた。

2/27の朝のテレビ番組では、ある弁護士が、「こういう承諾書を取ったからといって、(グランドツアーに)全く責任がないということではありません」と言っていた。では、この場合、グランドツアーにどんな責任 があるのだろうだろうか。

本日、2/28のテレビ番組では、「スカイクルーズは、過去にも事故を起こしており、料金もかなり安く出していた。参加者は、気球ツアー実施業者 も選べないし操縦士の良し悪しも分からない。結局、旅行会社にお任せするしかない」とコメンテーターが語っていた。

この場合の旅行会社 とは、グランドツアーなのかスカイクルーズなのか明確ではないが、グランドツアーのことを指しているとしたら、実施責任はないにしても、現地の実施会社を選ぶ際にどういう基準で選んだかが問題だということのようだ。

しかし、エジプトの気球ツアーは、当局がその安全性に関してかなり厳しく管理しており、安全基準をクリアーした業者しか実施できないことになっている。グランドツアーは、当然ながら、当局から許可された業者を選 定していた。それでも、ダメだと言われては、旅行会社は、何を基準に業者を選定すればいいのだろうか。

気球に限らず、私たち旅行会社はツアーではバスなどの車を多用する。日本国内の場合は法が明確だからいいが、海外では、日本のような法規制がない場合も多い。それでも、私たちは、その国で弊社に限らずどの会社も 通常行われているやり方で車を借り上げてツアーに使う。もちろん、安全確保を第一に考えて、車の整備などを怠らないよう現地に要請はしている。

事故が起きるたびに、旅行会社は、様々なことを問われる。極端な話をすれば、弊社がやっているような国・地域でツアーを行うこと自体がハイリスクだと言われかねない。旅は、夢や感動を与え人を幸せにする。そう大先輩から教えられた。弊社としては、事故が起きないように最大限の対策を取りながらツアーを実施して行こうと思う。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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