グアムの事件からパッケージツアーを考える

つむじかぜ418号より


グアムで痛ましい事件が起きた。誰しもが2008年の6月8日のあの秋葉原無差別殺傷事件を想起したに違いない。あまりにも酷似していて、むしろそのことに驚き背筋が寒くなった。亡くなられた方々のご冥福を心から祈りたい。

ところで、このニュースは、旅行業界の中では別の観点から注目された。「事件に巻き込まれた人の内、7人が楽天トラベルで予約」とテレビや新聞が大きく報道したからだ。きっと、GWの関越でのバス事故でも楽天トラベルのサイトで予約した方が犠牲となったから「また楽天!」という焦点の当て方をマスコミはしたのかもしれない。

今回、楽天トラベルが取り上げられた理由には、もう一つ訳がある。楽天トラベルは、ホテルを手配しただけ(手配旅行)だから事件が起きたからといって、怪我をされた方やご家族のお世話をしなければならない義務は全くない。本来ならお客様の自己責任の範囲であり、邦人保護の観点から、在日本大使館が動くことになるのが一般的だ。

ところが、楽天トラベルは、JTBやHISが現地でお客様のケアーをいち早く行っていた所為か、急遽社員を派遣した。JTBやHISは、パッケージツアー(募集型企画旅行)だったからケアーは当然であろう。しかし、楽天トラベルは、なんら責任はないはずなのに世論に押された形になった。実は、パッケージツアー(募集型企画旅行)は、事故・事件に巻き込まれ死亡すれば、自由行動中でも2500万円(国内旅行は1500万円)の補償を旅行会社はしなくてはならない。後遺障害を負われても2500万円(国内旅行は1500万円)を上限に補償する。この制度を特別補償規定という。弊社のツアーに参加されるお客様方にも同様の補償を弊社が行う。一方、手配旅行は、補償する規定がない。

「手配旅行は何故補償がないのか」という人もおられるかもしれないが、ホテルだけ予約しただけで、他の行動は、一切旅行会社は把握していないのに補償するのは常識的に考えておかしい。

確かに、自由行動中でもツアーなら補償するこの特別補償規定は、消費者保護としてはやりすぎだという声もある。今回のグアムでも、何処の旅行会社を使おうが、あの通りを歩いていたことに違いはない。しかし、旅行会社は、安心・安全のために、多くの時間と人をさき、金銭的な負担もしていることを、どうかご理解いただきたい。

インターネットで、ご自分で航空券や海外のホテルを取ってご旅行されるときは、全ては自己責任である。海外旅行保険に加入されていても、事故が起きたときに、旅行会社が間に入って対応するのと、全く入らないのでは大きく違う。特に、海外では、何か起きたら頼る人が必要だ。是非、旅行会社を頼りにしていただきたいと思う。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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