フライパン

つむじかぜ429号より


我が家のフライパンは、強火が使えず、弱火のみ。焼入れは厳禁。だから使った後に洗うのは、フライパンが冷めてからになる。熱いフライパンを水につけたときの、あの「ジャアッ!」っという音など立ててはならない。洗うときは、もちろん金たわしなど使えない。スポンジで優しくこする。

弱火しか使えないフライパンで、目玉焼きを作っても、まるでふやけたような出来上がりになってしまう。もう随分前になるが、モンゴルのバヤンゴルホテルの朝食の目玉焼きがそんな風だったので、どうしてか尋ねたら、ホテル内では、ガスが使えず電熱器だから火力が弱いんだと言われた。にわかには信じがたかったが、兎に角、美味しくない。好みの問題かもしれないが、白身に焦げ目がついて少し香ばしい匂いがするような目玉焼きが私は好きだ。

そんなフライパンが嫌だから、鉄のフライパンを買ってみたが、使い始めに焼入れをして表面を処理するが、そのやり方が悪いのか、目玉焼きを作っても焦げ付いてしまう。使用後に油を塗ったり、色々試みたが、全くよくならない。

そこで、少し調べてみた。すると「フライパン工房 あじねフライパン」のホームページに以下のような記述があった。

「それは油を上手に使う方法です。 よく「鉄フライパンを使った後は油を塗らないといけない」と聞くと思いますが、この方法ではなく、もっと手軽なものにした方法です。 その方法とはお料理で使ったあと、まだ余熱のある内に水のみでこすり洗いをすると言う方法です。こする物については、まだフライパンに余熱があるのでスポンジではなく、ステンレスタワシがお勧めです。 これを使ってこすり洗いをしますが、この時洗剤を使わないでこすり洗いをする事をお勧めしています。なぜこの方法が良いのかと言うと、水のみなので適度な油がフライパンに残ってくれるのです。 この適度に残った油分が鉄と空気を遮断する働きになり、錆をだしにくくしてくれると言うわけです。 また、その効果はそれだけではありません。 鉄フライパンの最も重要なポイントは、油なじみです。この油なじみが進むと、鉄フライパンは驚くほど使いやすく、とても便利な道具になるのですが、この方法を続ける事によって、この油なじみも良くしていってくれるのです。 そうなるとフライパンは更に手放せないかわいい道具となります。」

なるほど、ついつい洗剤を使って綺麗に洗ってしまうが、それがいけなかったのか。「鉄フライパンの最も重要なポイントは、油なじみです。 この油なじみが進むと、鉄フライパンは驚くほど使いやすく、とても便利な道具になる」この下りがとてもいい。

風の旅行社も、なんだかそんな鉄のフライパンに似ているかもしれない。少々こだわりが強いから、初めてのお客様には、使い勝手が悪いかもしれない。ただ、一旦なじんで頂いたら、驚くほど「いい道具」になれるだろうと多少なりとも自負している。長く使ってもらうことが私たちの願いだ。間違っても、ホーローのフライパンにだけはならないようにしようと思う。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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