消費者庁は、いったい何を守るのか!

つむじかぜ459号より


今日は、朝から観光庁で標準旅行業約款の見直しについて日本旅行業協会(JATA)の委員として参加してきました。もう3年もやっている委員会で、今日が最後と聞いていました。過去、もめにもめたが、何とか一つでも結論を得たいとし、観光庁が調整して開かれましたが、消費者庁の反対で、取消料の改定はついに通りませんでした。

一体、どういうことか。簡単にご説明します。

今、私たち旅行会社は、航空会社やホテルが要求してくる取消料をお客様に頂こうと思っても、パッケージツアーなどでは、ご出発の30日前(ピーク時で40日前)からしか取消料をいただけず、赤字になってしまうことがしばしばあります。

以前は、そんなことは滅多に起きませんでしたが、最近は、航空会社が、自社のホームページで消費者に直接販売するようになり、パッケージツアー用の航空券を廃止する航空会社が沢山出てきました。日本航空や全日空ですらそうです。

従って、旅行会社も、PEX運賃という個人旅行向けの航空券をパッケージツアーでも使うしか方法がなくなってきています。しかし、この航空券は、予約後72時間以内に発券しなくてはなりません。発券後は、15,000円~30,000円程度の取消料がかかります。

しかし、現在の標準旅行業約款では、海外旅行にあっては、ご出発の30日前(ピーク時で40日前)からしか取消料をいただけません。そこで、やむなく、旅行会社は、お客様に説明して、航空券の部分を手配旅行契約に切り替えたりします。

手配旅行契約の場合は、航空会社の取消料規定がそのまま適用されるのでリスクは回避されます。しかし、旅程管理、旅程保証、特別補償などの責任を旅行会社は負う必要がなくなってしまいます。

簡単にいえば、航空機遅延などのトラブルがあっても対応できないし、事故でお客様がお亡くなりになっても、旅行会社は、2500万円(国内旅行は1500万円)の補償金を払う必要がなくなるのです。

これは、著しく消費者の不利益になるから、航空会社やホテルが要求する取消料を実額でいいからお客様から頂き、企画旅行契約すべきだと申し上げました。特に、修学旅行や団体旅行などの受注型企画旅行だけでも、そうしてくれと要望しましたが、消費者契約法上の整合性が取れない、の一点張りで受け入れられませんでした。

一体、明日にも起こるかもしれない事故に、どう責任をとるのでしょうか。消費者庁が守るべきものとは何なのでしょうか。

大山鳴動して鼠一匹、その一匹すら出てきませんでした。私自身、この委員を引き受けましたが、情けなくて旅行会社の皆さんにも会社の皆にも、顔向けができません。それでも何とかしたい。そのためにはもっと力が必要ということでしょうか。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

シェアする