縄文杉登山

つむじかぜ479号より


5月11日、トラベル懇話会という業界団体の研修で縄文杉登山が行われ私も参加した。総勢20名。1名の20歳代を除けば、ほとんどが50歳以上で、その内9名が60歳代。果たして歩き通せるのか。誰しも不安だったに違いない。

縄文杉までは、荒川登山口から、トロッコの軌道を約8km余り歩き、その後は3km弱の急な山道を登る。トロッコの軌道は、登山口から小杉谷までの2.5kmほどは枕木の上を歩くのでリズムがとり難く歩きづらいが、その後は、軌道の中に幅50cmほどの板がずっと敷いてあってとても歩きやすい。しかし、とにかく距離が長い。

下山も同じ道を引き返す。標高差は700m弱だからそれほどないが、往復約22km、なかなかハードである。それでも、毎年この縄文杉登山に挑戦する人は10万人を超えているというから驚きだ。

富士山に登ったときは、多くの登山者が、近郊の山に遠足に行くような軽装で登ってくるのに呆れてしまった。もちろんガイドなど殆ど見なかった。滑落するような場所もないし、道に迷うようなところもなく、事故も殆どないからかもしれないが、私には危険極まりないとしか映らなかった。

一方、縄文杉登山は、意外にも、ガイド付きのパーティーが多かった。平らなトロッコ道は怪我の心配はそれほどないが、約8kmと距離が長いから歩きなれない人は、疲れが脚にきてふらつき始める。それがために、復路の最初の約3kmの急な下り坂での転倒事故が多いそうだ。この日も、ガイドが付いていないパーティーで骨折者が出てレスキュー隊が出動していた。ガイド付きが多いのも頷ける。

屋久島は、樹齢1000年を超える屋久杉が美しい自然景観を生み出していることと、亜熱帯から亜寒帯までの植物が海岸線から山頂へと連続的に分布する植生の垂直分布が見られることで1993年に世界自然遺産に登録された。いわば、縄文杉は、その象徴である。

観光のあり方として、ひとつの物に人気が集中するのは、あまり良いことではないと思う。しかし、世界遺産、縄文杉というブランドの力は絶大である。屋久島には、白谷雲水峡もあれば、宮之浦岳、モッチョム岳などの名峰もある。入り江を利用してシーカヤックだってできる。是非、屋久島の観光をバランスよく発展させてほしいものだ。

何はともあれ、私も含め全員が完歩した。私の足はパンパンになり腰から下がふらついていた。下山後は、温泉に生ビール。さば節に三岳。美味い!縄文杉に乾杯!

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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