日本のサービス

*風のメルマガ「つむじかぜ」610号より転載


東京のホテルを朝出発し、箱根を観光して小田原から新幹線に乗り京都へ行く。訪日外国人たちのゴールデンルートである。大きなグループなら、通しでバスを使う方が安くなるかもしれないが、新幹線にも乗りたいという声も強いそうだ。

さて、こんな時、荷物はどうするのか。私どもが、ネパールやモンゴルなどを手配する場合も、荷物をどうするか常に考える。しかし、ほとんどの場合は、国内は専用車で移動するので、お客様と一緒に車に載せれば済む。ブータンなどは車の屋根の上に今でも載せられる。

ところが、日本では、なんと東京のホテルを出るときにホテルから宅配便で送れば、夕方、お客様が到着するまでに京都のホテルに届く。訪日外国人の観光を手配している会社に聞いたら、それがインバウンドでは標準になっているというから驚きだ。

如何にも日本である。こんな芸当ができる国は少なかろう。九分九厘間違いなく荷物が着くという驚くべき信頼性が日本では確立している。しかし、大雪や台風、事故だってあるだろう。私が添乗員なら「万一に備えて、一泊分の着替えは手荷物でお持ちください」。とお客様に案内するに違いない。

便利なことはいいのだが、サービスとしては過剰すぎると思えることが日本には結構あるのではなかろうか。現場で働く人たちへの負担はかなりなものである。

先日、ある宅配業者の配達員が、マンションの階段で荷物を蹴り荷台を放り投げるシーンがニュースで報じられた。誰が撮影したかは知らないが、これを見た人たちからは「何を考えているんだ!」という叱責の声も多かったようだが、「気持ち、分かるよな」という声もあったようだ。

もちろん、何があろうが、お客様からお預かりした荷物を蹴っていいはずがない。しかし、配達件数が多すぎて指定された時間に間に合わず、お客様から怒鳴られたのかもしれない、などと予測がついてしまうので、配達員への同情心が生まれたようだ。

昨日、マクドナルドへ入りコーヒーを注文し100円払おうとしたら「コーヒーは無料です。よろしかったらアップルパイはいかがでしょうか」と言われた。ハンバーガーを頼むと無料でコーヒーが付くならわかるが、コーヒーだけ頼んでも無料だというのだ。コーヒーが新しくなったのでキャンペーンをやっているらしいが、100円を無料にされて、しばらく席を占有することにどうにも居心地の悪さを覚え、ではアップルパイも、と要らぬものを頼んでしまった。

なんだか、とても妙である。感覚がおかしくないか?と私は思ってしまう。


★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。


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