銀行振込み

*風のメルマガ「つむじかぜ」707号より転載

先日、銀行で振込みをしようとしたら、「振込用紙は書かなくて結構です」といわれ、「え?」と不思議に思いながらも順番が来たので窓口に進んだ。ご用件はと聞かれ、振込みをしたいと答え振込先の口座が書かれた紙と通帳を渡すと、カウンターの女性行員が、その場で振込額を聞きながらコンピュータに振込内容を打ち込み始めた。
30秒ほどで終わると、私の左手のカウンターの上に置いてあった横25cm縦15cmくらいのタブレット画面に、今打ち込んだばかりの振込み内容が表示された。確認してタブレット上の承認ボタンに触れた後、クレジットカードなどの番号を入力するときに用いる番号入力機で電話番号とキャッシュカードの暗証番号を入力した。身分証明書として用意してきた運転免許証は不要であった。
入力手続きが終わると、今度は、私の右側に置いてあった小さな専用端末の液晶画面にタッチペンでサインし、上方に付いている3cm四方程度のこれまた液晶画面に朱肉をつけないで押印するようにいわれた。「え? ホントに?」と半信半疑で押印すると、下方のサインした液晶画面に今度は印影が表示され、「はい、それで結構です」と、3分ほどで全手続きが終わった。速い!
あまりの手続きの変わりように驚いたが、女性行員のテキパキと手馴れた案内の様子から、随分以前からこの方式に変わっていたのだろう。これだと、今までカウンターの後方で作業をしていた行員は不要になる。その場で確認しながらの作業だから、お客様が怠わらない限り間違うこともないだろうし、後処理も発生しない。
銀行のIT化が進み、今後はAIに置き換わっていくといわれているが、そんな未来の姿を垣間見たような気がする。お客様が慣れてきたら行員なしでお客様自身で手続きができるようになるかもしれない。IOTを一挙に進めるといわれる5Gの利用も一年前倒しになって今年から始まるという。いったいどんな世の中になるのだろう。
いやはやそれにしても、液晶画面に朱肉付けないで印鑑を押すのは、どうにも滑稽でつい笑ってしまった。液晶に映し出された印影はまるで朱肉で押印したように朱色をしていたが、滲んでしまい通帳印との照合ができるとは思えなかった。印鑑が要らない日ももうそこまで来ているのかもしれない。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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