若者の旅行

*風のメルマガ「つむじかぜ」732号より転載

今年も日本にやってくる外国人が増えている。2020年には4,000万人(2018年は3,119万人を記録)、2030年には6,000万人が政府の目標である。一時は銀座に溢れる中国人に違和感を覚えたが、もはや街で外国人を見るのも、電車の中で聞こえてくる中国語、韓国語にも驚かなくなった。
一方、海外旅行へ出かける日本人も、ようやく今年2,000万人を超えそうである。その中心はなんと20代の若者である。特にこの年代の女性は活発で、『海外観光旅行の現状2019』(JTB総合研究所2019年6月28日発表)によれば、20~24歳の女性の出国率は40.5%と全体平均の14.3%の3倍近い。また25~29歳の女性の出国率も33.6%でこれに次ぐ。若者が海外旅行に行かないなどいうのは、この数字で見る限り当たらない。
しかし、20~24歳の男性の出国率は18.4%、20~24歳は22.1%と、男性は女性の半分程度である。若者の世界では女性の方が海外旅行に関してはかなりアクティブだと分かる。ちなみに30歳代以降は男性の出国率が女性より高くなる。現役世代はビジネストリップが多くなるので理解できるが、男性もリタイア組が増えるだろう65歳以降でも男性の方が出国率は高い。弊社のお客様は、6:4、目的地によっては7:3で女性の方が多いのでこれまた意外な数字である。
では、若者はいったいどこへ出かけているのだろうか。年代別の集計はないが、2000年にはヨーロッパ・ロシアが19.7%だったのに、2018年は13.7%、一方、東アジアは15.9%から28.0%に、東南アジアは14.7%から21.9%に増え、これに中国の6.3%を加えるとなんと56.2%をアジアが占めることになり、料金が安い旅行に傾く傾向にある若者がその増加の中心になっていると予想される。ネットでホテルも航空券も簡単に予約ができるし、アジアへはLCCが格安で飛んでいる。まさに若者が増える要因満載である。
ところが面白いデータがある。旅行会社の店舗へ行くのは若者が多く、高齢者になるほどネットですべて手配してしまう人が増加するというのである。旅の経験を多く持つ年配者はネットだけでも決められるが、若者は、旅行会社のスタッフに相談しより良いものを選びたいということらしい。
情報を得るのはきっと若者の方が上手だろう。情報をいくら得ても決める力がなければ何もならないということだ。しかし、決断力は失敗の経験の数だけ身につく。ベストな選択にこだわらず、どんどん失敗をしてほしいものである。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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