2021年を振り返る

開きかけた海外への扉もオミクロン株が出てきてまた閉じてしまった。11月の初めには、業務渡航に限ってだったが帰国後の隔離が3日に短縮され漸く明るい兆しが見えてきた、と喜んだのも束の間、あっという間に一年前の第3波の時に戻ってしまった。

政府は、水際対策を厳しくし少しでも流行を遅らせることが、「準備」をするために必要だという。完璧な水際対策はなく、既に一昨日、市中感染が判明したから第6波はもう始まっているのだろう。今回は感染力がデルタ株の4倍以上といわれているから、1か月後にはかなりの感染者が出ると予想されている。一方では、重症化する率は低いともいわれているが、WHOはまだそう断定することはできないと慎重な姿勢を崩さない。分科会の尾身会長も感染者が今までにないスピードで増えれば医療が逼迫すると警鐘を鳴らしている。

しかし、どういう準備をしているのだろうか。病床は増えたのだろうか。医療従事者は十分に確保できるのだろうか。肝心なことはやはり見えてこない。何故、3回目のワクチン接種をもっと早めないのだろうか。経口治療薬は今日にも承認され、来週から使えるようになるというがスムーズにいくのだろうか。すべてに疑問符が付く。

もう海外ツアーができなくなって、1年9か月が経ち、ほぼ3年目に突入することも見えてきた。雇用調整助成金が4月以降も延長されるかは決まっていない。国が防疫のために海外往来を止めているから私たちは仕事ができない。もちろん日本だけでどうなることでもないが、オーストラリアのように、12月に入ってから、日本からの渡航制限を緩和した国もあるのに、日本は鎖国状態に逆戻りしてしまった。欧州でもオミクロンが猛威を振るっているが、欧州内の往来は続いている。何故、こんなに違うのか。

命を守ることは何事にも優先するが、海外旅行を扱う私どものような旅行会社はどうなるのだろうか。何故、飲食店のような支援を受けられないのか。そんな不満が充満している。飲食店への営業自粛と違って旅行会社に営業自粛は要請していない、と説明されても今一つ納得はできない。もちろん、防疫は国が国民を守るための行為であり極めて重要だと承知しているが、それによって企業が影響を受けても国は助ける義務はないということなのか。

雇用調整助成金がなかったら、とっくに雇用は維持できなくなっている。旅行会社は人材が命。国の助成には大変感謝しているが、家賃や通勤費、社会保険料などの固定費はカバーできない。日々キャッシュアウトが続く。岸田首相が総裁選で事業規模に応じた支援金の創設を掲げていたので期待したが、発表された復活支援金は、2019年度で5億円超の売上があった法人で50%以上売上減なら250万円。1億円超~5億円以下なら150万円、1億円以下は100万円。なるほど、売上額に応じた支援には違いないが額が小さすぎて期待には程遠い。

それでも私たちはこの仕事を止める気はない。なんとか、再開を果たしたいと思っている。この仕事の素晴らしさも楽しさも、コロナ禍で逆に身に染みた。年末に一年を振り返ろうと思って書き出したが、つい愚痴めいたことになってしまった。どうかご勘弁願いたい。

皆様からの温かいご支援に感謝するとともに、来年こそ明るい年になることを祈念し、年末のご挨拶といたします。来年も、よろしくお願い申し上げます。

シェアする

コメントを残す

※メールアドレスが公開されることはありません。