南ゴビは、美しい。地平線を望む大草原が広がり、上空には蒼い空が広がり、大きな白い雲が浮かぶ。特に今年は雨が多く濃い緑に覆われたそうだ。なんと、雨の名残で砂漠の中に水たまりがあちこちに見られたくらいだ。
南ゴビの玄関であるウムヌゴビ県の県庁所在地・ダランザドガドの空港に16時過ぎに到着。ガイドのSさんと合流。今回は総勢10名。3台のランクルに分乗し、無線を通してSさんの説明を聞きながらホンゴロ砂丘へ向かった。
砂漠などどこにもない。もともとゴビとは“草の少ないところ”という意味だ。ランクルの車窓には大草原と、長さ180kmを超える黒いゴビゴルバンサイハン山脈が連なる。サイハン山脈は、西、中、東に分かれるが、東サイハン山脈が一番高く最大標高は2,846mを超える。その東サイハン山脈を左から巻き込むようにして渓谷を抜けると、突如としてホンゴロ砂丘が登場する。距離は、ダランザドガドからダート道をおよそ200㎞、約4時間。緑の大草原に浮かぶ、東西約180㎞、幅最大約20㎞、高さ最大500m(ガイドの説明による)のホンゴロ砂丘は、背後に黒いゴビゴルバンサイハン山脈を頂き優麗ですらある。
ホンゴロ砂丘では、私が用意してきた紺色のジャケットを着て、何人かころころと転がって動画を撮っていた。砂丘には、妙にジャケットが合っている。こういう遊びもなかなか楽しい。
渓谷を抜ける時、いくつかの野生動物に出会った。というより、Sさんのお陰で観ることができた。道路の脇に聳える100mはあるだろう岩山に何頭かのアイベックスを観たし、ヒゲワシとその巣も観察できた。Sさんの本業は、バードウォッチャイング、アニマルウォッチングのガイドだそうだ。やっぱりウォッチングツアーは、ガイド次第である。
翌日には、40分ほどのラクダ乗りを体験し、恐竜の卵の化石が世界で初めて見つかったバヤンザクへ向かった。まるでグランドキャニオンのような景観で、赤茶けた土が美しい。
たった2泊でウランバートルへ戻るのは勿体ないが、帰りは陸路で540km、昼食や休憩を含めて約10時間。舗装道路だからあまり体への負担もなく、あっという間に走り切った。
ゴビを知らずしてモンゴルを語るな、という言葉もある。モンゴルの自然は雄大である。西モンゴル、フブスグル湖の北部、東の360度広がる大草原。やっぱりモンゴルはすごい。