第7話 授業参観[LADAKH]

第4話で登場したアムチ・ティンレイ・ヤルジョル先生のチベット医学診療所と学校を訪ねてみた。

診療所は、レー市街の入り口にあるレー・ゲートのちょっと上のほう。毎朝学校の授業が始まる前、8時半から9時15分まで開いて診察にあたる。

脈診中のティンレイ先生 朝礼(坊さんは先生)
脈診中のティンレイ先生 朝礼(坊さんは先生)

その後、自家用車でレーの隣町チョグラムサルにある学校、Central Institute of
Buddhist Studiesへ行く。この学校は、直訳すると「仏教学中央研究所」といかにもアカデミックな研究所である。特に、中央という文字が光っている。インドの仏教研究全体の中心なので中央なのか? ラダック文化の中心だから中央なのか? ティンレイ先生に聞いたら、何のことはない、インド中央政府直轄の学校だからだそうだ。日本なら国立と名づけるだろう。

6年生から入学を受け付けるそうだから、中学、高校、大学が一緒になっている学校である。
遠方に住んでいる学生のために学生寮があり、寮費はタダだそうだ。女子学生寮と、男子学生寮の間に、僧侶学生寮があるのには笑ってしまった。男女学生の間にクッションを置いているつもりなのだろうか?

寮費がタダなほかに、奨学金が比較的簡単に貰えるそうだ。一月475ルピー(日本円で1500円以下)。しかし、食費450ルピーを払わなければならないので、残りは、25ルピー。せこいぞインド政府。

ラダックの冬は寒いので冬休みは2ヶ月半もあるのだが、夏休みは15日と短い。そのためか遠方から来ている生徒や教師は、帰郷のための移動日数を考慮して前もって休みを取ることができる。そのせいで、夏休みが始まる前にすでに、多くの生徒が帰郷してしまっていて、キャンパスは閑散としていた。

ティンレイ先生の医学教室をのぞいてみる。この日の生徒は二人だけ。一人は、ダラムサラへ行っていて、他の二人は、インターンとして、チベット医学病院で研修だそうだ。この教室には、12年生から入ることができる。5年間授業を受け、医師資格試験を受けたあと、インターンとして一年間の研修義務がある。医師資格試験は、ダラムサラのメン・ツィカンの資格試験と同じだそうだ。驚いたことに、もし、医師資格試験に落ちた場合、浪人して来年以降の医師資格試験を受けることができないのだそうである。ってことは、もし、試験に落ちた場合、5年間の学習が無駄になるのでは?小川さん大丈夫だろうか?でも、蛇の道は蛇で、無医師資格でがんばっている?(あんまりがんばってほしくないが)医者もいるそうだ。

医学教室には、製薬器械もあり、製薬技術もおしえるそうだ。また、薬草が生える季節には、薬草採取の実習もあるとのこと。

生徒に個人指導 医学部にある製薬器械
生徒に個人指導 医学部にある製薬器械

なぜか木彫り教室に尼さんが医学教室を覗いた後、ほかの教室も案内してもらう。仏教哲学とかの教室を覗いてもヴィジュアル的に面白くないので、伝統工芸教室を参観する。これらの教室には、9年生から入学できる。いずれも6年間の授業がある。粘土仏像製作教室には、6人しかいなかった。仏像製作のニーズが少ないのだろう。タンカ(仏画)教室は、18人。こちらは、ラダック人の仏間用と、観光客のお土産用にニーズがあるから人気のクラス。木彫教室は、20人で女子学生が多かった。結婚したあとも内職に便利なのだろう。一人尼さんがいたのは、なぜ?(右写真) 先生は、木彫教室にしかいなかった。あとは、自習である。学級崩壊など今後20年間はなさそうな、のどかな反面、仏教徒らしい規律のある学校だった。

残ってほしいぞラダックの伝統技能。