ツォモリリ湖への道[LADAKH]

飛行機でデリーからレーへと向かう途中、機上の窓の下にツォモリリ湖が現れる。
ツォモリリ湖は、レーから南東方向へ210kmの地点にある。この地は、ルプシェ地域と呼ばれ、チャンパと言う牧畜民が住む。彼らは西チベットの人々と同じ方言を話す。

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今回は、ツォモリリ湖、ツォカル湖の周遊ドライブコースについて報告する。

レーから1時間ほどで、ウプシの村に至り、ここでお茶を飲む。ウプシから右へ折れればマナリ方面へ向かう道である。
ウプシのチェック・ポストでインナーライン・パーミットを提出し、先へと進む。インダス河渓谷の谷間が次第に狭まっていく。途中白い仏塔が並んでいる地点で車を止め撮影する。
インダス河流域崖には、紫色や、茶色など不思議な配色の地層がむき出しになっており、地層萌えの方には、たまらない風景であろう。
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レーを出て4時間、チュマタン温泉(3,950m)に着き、昼食を摂る。残念なことにゴミが散乱していて、情緒豊かな温泉とは言いがたい。昼食後、河原の湯元で足湯を楽しむ。
チュマタン温泉を出て30分後に、マヘのチェック・ポストに着く。遠くにマヘ寺が見えるが、残念ながら外国人はここからインダス河上流域の国境地帯へは行くことができない。

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(チュマタン温泉【左】、遠くにマヘ寺が見える【右)】

マヘの橋を渡り、インダス河の支流を上流へ向かう。小川が流れる谷間はインダス河流域の谷間よりももっと狭く、左右の崖もそれほど高くない。
マヘを出て、30分後に、スムド村の分岐点に至る。さらにジグザグの坂を登ると、ナムシャンラ峠(4,960m)を超えるが、前後のスロープがゆるやかなため、峠を越えたという実感がわかない。少し進んで、キャガル湖が見えるところで写真を撮る。道端付近には、ナキウサギがちょこんと石の上に座っていた。

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この湖を迂回し、坂道を登り、少し下ったところで、ツォモリリ湖が見えてきた。やがて、湖畔に着いた。野鳥保護のため、湖畔の湿地帯には金網の柵があった。このときは曇りのため、ツォモリリ湖の湖面は灰色にくすんでいた。
カルゾク村(4,530m)に着いたとき、一時、雲間から日が差し込み、虹が現れた。
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翌日、早朝5時40分に、車を出してもらい、湖畔の小高い地点で日の出を待つことにした。昨日とうってかわって、青空となり、湖面も深いブルー色に輝いていた。ツォモリリ湖は、南北に長く(27km)、東西に短い(8km)。日が徐々に昇ってゆき、対岸の山々や、カルゾク村をゆっくりと照らしていく。朝の荘厳なひと時だ。
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カルゾク村で朝食を摂り、すぐに村を出た。
湖畔を離れ、少し先へ行くと緩やかな谷間の河原があり、草地に目をこらすとあちらこちらにマーモットがヒョコヒュコと動いているのを見つけることができる。そのゆったりした動作と表情が愛くるしい動物だ。この地域をムーミン谷にちなんで、勝手に「マーモット谷」と名づけた。
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コルゾク村を出て一時間後、先日通った、スムド村の分岐点をすぎ、今度は右へ向かう。
途中、硫黄の採掘場があり、その先には、ブガ温泉があった。高原の温泉で、小さな穴に湯が沸いているだけだが、チュマタン温泉に比べ、ゴミゴミしたところがなく、草原の緑の中で、足湯をつかるのは気持ちよかった。
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草原では、羊の群れが羊飼いに追われていた。
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ポロコンガラ峠(4970m)を越えると、ツォカル湖が見えてきた。谷間では、ヤクの群れがのんびりと草を食んでいた。
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チベット語で「ツォ」は湖で、「カル」は白という意味だ。だからツォカルは「白い湖」となる。名前の通り湖畔には塩が堆積しており、白く輝いていた。車から遠く湖畔に黒首鶴がいたが、肉眼ではよく見えなかった。望遠にしてもはっきりと写らなかった。
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ツォカル湖の横を走りぬけ、トゥクジェ村を通り過ぎると。草原で野生のロバの群れに出会うことができた。ロバとはいっても、軽快に走る姿は、馬やラバに近く、腹と首が白く、背中がうす茶色の毛並みは美しかった。
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カルゾク村を出て5時半後、ボングナクのテントで昼食を摂る。食後、テントを出て、15分の地点でマナリ-レー間の道路に出る。長い坂道を登り、タグランラ峠(5,350m)に着いた。一昔前まで、世界で第二位の高さの車道であったのだが、いまではランク落ちしてしまったため、標識には、第二位の高さとあるが、「世界で」という箇所が消されていた(笑)。
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峠のジグザグの坂道を降りて、最初の村ルプシェでお茶を飲んだ。民族衣装を着けた少女の可憐な笑顔の写真を撮ったあと、父に連れられ坂道を降りていく親子の後ろ姿がほほえましかった。
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レーに着いたときには、日が暮れていた。