エベレストBCと温泉と星空と・・ [LHASA・TIBET]

大都会ラサを離れて、チョモランマのベース・キャンプへ!

正月ツアーも無事終わり、ちょっと一息・・と思っていた。
が、風の東京オフィスのSさんがチョモランマBCへコースの視察に行くというので、
僕も無理矢理(笑)同行したのであった。 

もともと僕は、チョモランマにはほとんど興味がなかった。
登山家にばかり「ちやほや」される極めてミーハーな山とばかり思っていたが、
これは全くの全くの偏見であった、ということを告白せねばならない。
圧倒的な空間的包摂力と開放感。まるで人々を迎えるかのように聳え立つ、
BC(ベース・キャンプ)でのその威容は、厳しさや苛酷さなどよりも、その清浄さや荘厳さが際立つ。
快晴に恵まれていたせいもあろうが、我々以外人影がなかったせいもあろう・・。
様々なエベレスト登頂物語に象徴されるような政治的なメッセージとは、いかにも無縁な世界であった。 

青空のチョモランマ(エベレスト)

青空のチョモランマ(エベレスト)

チョモランマBC近くにはロンプ・ゴンパという名のニンマ派のお寺があるが、
それよりもぜひ訪れるべきは、「ザ・ロンプ」と呼ばれるグルリンポチェ縁の場所であろう。
数々のグルリンポチェの聖蹟で彩られている岩場である。
同行してくれた熟練ガイドのペンバが、我々をある岩の上へ導く。なんでもそこでは、
グルリンポチェと女性パートナーであるイシツォゲルが「修行をしまくった」(ちょっと語弊があるか・・)場所らしく、
ここで祈ると子宝に恵まれるという・・

このような場所で密な修行とは・・。 恍惚感にもほどがあるではないか!!(笑)
エピキュリアンは、妄想にふけらないわけにはいかない。
瞬時に眼前のチョモランマと一体化できるのかもしれない・・。

岩の上でくつろぐガイドのペンバ、奥はチョモランマ。

岩の上でくつろぐガイドのペンバ、奥はチョモランマ。

このザ・ロンプという岩場。
標高5,000メートルを超える上、岩場も危険なところが多々あるので、細心の注意が必要である。
Sさんは冬山登山やロッククライミング歴が長いせいか、まるで水を得た魚のように、すいすい進んでいたが。

さて、その夜。
Sさん、ガイドのペンバと意見が一致し、ティンリーの温泉へ行く。
温泉に入りたい!というのもあったが、実は僕はもうひとつ目的があった。
それは星空の写真を撮ること。街に泊まっては人家の光がうるさくていい写真は撮れないのだ。
憧れの天体写真・・。

天体写真というのは生まれて初めて撮るが、案外簡単に撮れるものである。
簡単に撮れるが、そのプロセスはいかにも神秘的である。
星の光を時間をかけて拾い集めて、肉眼では見えない星々をも、
まるで魔術師のごとく眼前に招喚させるのである。じつは、
光の「粒子」である光子(フォトン)が撮像素子と呼ばれる「デジカメのフィルム」に当っているだけなのであるが、
「見えないものを見えるようにする」というところに、ある種の神秘性さえ感じられる。
それも、ある一定の長さの「時間」が二次元化されるのである。

ひとり言がすぎたが、下が撮った写真。

中央やや下にオリオン座と冬の大三角、上方に昴。

中央やや下にオリオン座と冬の大三角、上方に昴。

オリオン座の右肩の赤い星ベテルギウスが消滅するかもしれない、というニュースを見た。
それも数万年後かもしれないし、明日でもおかしくない(!?)、という。
もしこのベテルギウスが消滅すれば、なんともアクセントの欠く冬の星座になってしまうことであろう。
だから、みなさん、これからは「毎日が見納め」と思ってオリオン座を眺めてください、ほんまに。

天の河と、中央にカシオペア座。

天の河と、中央にカシオペア座。

ここで、今年初の句。

天の河 光子(フォトン)群れゆき 洪水に

天の河の季語は「秋」らしいが、この際よしとしよう。

翌朝、荷造りを終えたところで、Sさんが笑いながら部屋に飛び込んできた。
「ペンバと(ドライバーの)ニマさんが、ダイスケを呼んで来いって! 朝風呂一緒に入ろうって!」。
露天風呂、なのである。外気は零下15度ぐらいはあろうか。風邪気味のせいか喉が痛い。
「湯冷めするから入らんぞ」と思ったが、二人が気持ちよさそうに入っているのを見た瞬間、
いとも簡単に心が変わってしまった(笑)。

チベットでは、「美しい星々によって地上の水が浄化される」、と信じられている。
美しい星々で、より一層浄化されたこの温泉の聖水。

その熱い聖水につかりながら、前日のチョモランマを思い出す。

Daisuke Murakami

三人朝風呂

三人朝風呂

1月15日
(ラサの)天気 晴れ
(ラサの)気温 -10~7度 【少しずつ温かくなってきたように思います】
(ラサでの)服装 昼間はセーター、ダウン、厚手のコートなど。 夜はダウン、厚手のコートなど。 
昼間でも曇れば非常に寒いので要注意です。晴れの日は日差しがとてもきつくなるので、
日焼け対策は必須。空気は非常に乾燥しています。雨具は念のため持ってきたほうがいいでしょう。

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