【レビュー】映画『ラサヘの歩き方 祈りの2400km』

7月からシアター・イメージフォーラムなどで公開されるチベットを舞台にした映画『ラサへの歩き方 祈りの2400km』。先日、配給先から試写会のご案内を頂いたので、見に行きました。




基本ストーリーは「チベットの田舎に暮らしている村人たちが、聖地ラサと聖山カイラスに巡礼に向かう」ただ、それだけなのです。しかし、それは単なる巡礼ではなく、全行程2400kmを、全身を大地に投げ出して祈る「五体投地」という方法で祈りながら、ほぼ1年をかけて歩くという途方もない巡礼だったのです。

巡礼者は同じ村に住む3家族11人の老若男女。実際の村人が本人役を演じていて、家族構成や、彼等のバックグラウンドはすべて事実。フィクションでありながら、ドキュメンタリーでもあるという不思議な映画です。



映画は、チベット自治区の東端、四川省との省境に位置するマルカム県プラ村の朝の日常風景から始まります。水を汲み、薪を拾い、火を起こし、家畜に餌をやり、放牧に出かけ、仏壇に祈りを捧げ、黙々とバター茶とツァンパの朝食を摂る。チベットを旅行してもなかなかお目にかかれない、田舎の人々のリアルな日常がそこには描き出されます。(監督は撮影に先立ち3ヶ月村に住み込んだそうです)

兄を失ったばかりの年老いた男ヤンペルはラサ巡礼を思い立ち、甥のニマと旅立つことを決めます。すると彼らのもとを村の人々が「うちの家族もいけないか?」と相談に訪れます。「実際にチベットの農村では、こんな感じで巡礼団が出来ているのだろうな」と想像が膨らみます。



やがて11人の巡礼者は村を出発。巡礼の道中には、赤ん坊が生まれ、子供は成長し、道は川になり、荷物を運ぶトラクターはジープに追突される。こう書くと長く辛い苦行のような巡礼を想像するかもしれませんが、時に過酷でもあるチベットの美しい大自然の景色の中、彼らは生き生きとうれしそうに巡礼を続けます。

そんな彼等の様子に巡礼と生活、生と死は常に表裏一体で、物事をシンプルに考え、全てを受け入れるチベット人の人生観、死生観が感じられるのです。我々が青蔵鉄道の車窓から目撃する五体投地で進む巡礼者や、チベットのラサにあるジョカン寺の前で出合う五体投地をしているたくさんの巡礼者達にも、きっと同じようなドラマがあるのだろう、そんなことを思わずにはいられません。



映画は政治的な主義主張もなく、ひたすら「巡礼」という彼らの日常の風景を映し出します。しかし、そこにはチベットの精神文化への強い敬意が感じられ、むしろ逆説的に「政治的だ」とすら感じられるほどなのです

チベットに行ったことのある方にも、ない方にも、これからチベットへ行きたい方にも、中国寄りの方にも、チベット寄りの方にも、全ての人にお勧めできる貴重なチベット映画です。



ラサヘの歩き方 祈りの2400km

監督・脚本:チャン・ヤン 
撮影:グオ・ダーミン 
出演:チベット巡礼の旅をする11人の村人たち

115分/中国/2015/COLOR/チベット語/DCP/16:9/ DOLBY 5.1 
英語題:PATHS OF THE SOUL
公式サイト www.moviola.jp/lhasa
配給:ムヴィオラ 
※7月、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開



  


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出発日設定2019/09/14(土)~2019/11/22(金)
ご旅行代金598,000円
出発地東京・大阪・名古屋

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