風ダルバール・カマルポカリ

つむじかぜ449号より


9/22、ドゥルクエアーは、朝7時半、定刻どおりパロを飛び立った。10分ほどすると秋晴れの青空にカンチェンジュンガが大きく見えてきた。そこからは、まさに、ヒマラヤの峰々を展望するマウンテンフライトだ。40人程のキャパしかないプロペラ機だが、翼が機体の上部に付いているので、どの席から山がよく見える。実に素晴らしいフライトだ。

今回のネパール訪問は、僅かに2泊3日だが、11月初旬にオープンする風ダルバール・カマルポカリを見に行く。プリスビー(NEPAL KAZE TRAVELの社長)が、是非来てくれというので足を伸ばすことにした。

ダルバールとは館の意味。カマルポカリは地名である。ポカリとは水、池のことを指す。場所は、空港とタメル(カトマンズの最も人通りの多い繁華街)のほぼ中間で旧王宮の東になる。タメルまでは歩いて20分ほどかかるが、観光客は殆ど来ない比較的静かな場所である。

エントランスの屋根を葺いた瓦や中庭に敷き詰めた瓦は、70年ほど前にラナ家(1846年から104年間続いたラナ王朝の王家)で使っていたのもので既に朽ちて使わなくなった館から集めてきた。ベットやクローゼット、机、椅子などは、古都バクタプルの家具職人に作ってもらった。日本人ゲストのために全22ルーム中、5ルームだけバスタブをつけた。少々小さいが肩まで浸かることができる。

建物全体に白と茶とレンガ色が基本カラーだが、部屋の白いレースと淡いベージュのカーテンが一層落ち着いた風合いを出している。オーガニックなハーブ石鹸を置く。「このハーブ石鹸は、使い古しを再度整形しなおして使うことができるから無駄が出ないんです」そう嬉しそうに言うプリスビーの表情をとても好ましく感じた。

3年ほど前に、パトレ村で一緒にビレッジステイの視察に行った時に、「ネパールでも、カトマンズで育った子供たちは、田舎を知らず、ネパールの伝統や文化を知らない。外国人よりも、ネパール人の子供たちを、こういう村に連れてきたいですね」そんなことをプリスビーは言っていた。

伝統的な建物の趣をそのまま残し、できるだけ伝統的でオーガニックなものを使い、その良さを未来に引き継ぎたい。風ダルバール・カマルポカリは、まさに、プリスビーのそんな思いが詰まっている。決して贅沢でも豪奢でもない。実に質素である。

レストランは、プリスビーの奥さんのチエちゃんがカトマンズの隣のパタンでやっている「カフェU」からコックを2人連れてくる。カフェUもそうだが、なるべくオーガニックなものを出す。朝食は、ヨーロッパ人にも泊まってほしいから洋食か和食がチョイスできるようにする。「おいしいダルバート(ネパールの一汁一菜定食)も出したいですね。」そう、「つきのいえ」のあの美味しいダルバートがいい。近隣の村で仕込んだ旨いロキシーが付いたら最高だ。

ツアーでのカトマンズの宿泊は、順次風ダルバール・カマルポカリに切り替えていく。とても楽しみである。どうぞ、ご期待ください。

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プリスビー執筆「風ダルバール・カマルポカリを一年やってみて」(2014年10月)


★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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