添乗報告記

添乗報告記●キリマンジャロ登頂とサファリ12日間(2006年12月)

 

2006年12月1日~12月12日 文●荻原 文彦(風の旅行社・東京本社)

いざキリマンジャロへ

アフリカ大陸最高峰キリマンジャロ(5,895m)は、赤道に程近いケニアとタンザニアの国境付近に位置し、スワヒリ語で「白く輝ける頂」という意味と言われます。2006年師走、男性5名、女性6名の11名(57歳~78歳)にてこの山に挑みました。

いざ!キリマンジャロへ
「ジャンボ~(やあ)!」と登山口で合流した現地スタッフは、タンザニア在住の案内人・大森憲治さん、登山ガイド、コックそしてポーターの総勢31人。ルートは、タンザニア側からのキリマンジャロ登山で最もポピュラーな「マラング・ルート」。登山口となるマラング・ゲート(約1,800m)から3つの山小屋を繋いで行きます。

1日の高低差は約1,000m、歩行距離が10km前後で、ジャングルから草原帯、砂礫帯、頂上氷河へと続く、長く壮大な行程です。初日はマラング・ゲートからマンダラ・ハット(約2,700m)まで、ツルやコケの付着した巨木林を、小さなアップダウンを繰り返しながら約4時間の登りです。マンダラ・ハット到着後、高所順応を兼ねてマウンディ・クレーター(約2,900m)を散歩、黒々とした岩肌のマウェンジ峰(5,150m)とその先にキリマンジャロ山頂の氷河が白く浮かんで見え、期待に胸膨らみます。

樹林帯(ジャングル)
ジャングルから草原帯へ


登山2日目~4日目はホロンボ・ハット(約3,700m)そしてアタック小屋のキボ・ハット(約4,700m)を目指します。
途中、高所順応日として、1日停滞。高所順応には適度な有酸素運動が必要なので、午前中ゼブラ・ロック(約4,000m)を往復しました。その名の通りシマウマ柄の岩があります。

午後は、眠気と戦いながらの休憩です。頑張って眠らないようにするのは、大切な高山病対策。睡眠時は呼吸が浅くなり、高所での昼寝は順応の妨げになりやすいためです。キリマンジャロ登山には技術はほとんど必要なく、基礎体力のある方ならば、誰もが挑戦できます。ただ、山頂付近の酸素濃度は、平地の半分程度になります。高山病に対する正しい知識と適切な対応が必要です。

そしてさらに、アタック小屋のキボ・ハット(約4,700m)を目指します。初期順応に失敗してしまうと、厳しい標高になってきますが、幸いメンバー全員息切れと軽い頭痛程度で登ることができました。ここまで来ると砂礫帯に変わり植物はほとんど見られなくなり、傾斜がきつくなってきます。いよいよクライマックスが近づいてきました。

遂に頂上へアタック
頂上へアタックする日がやってきました。
深夜0時出発。腹式呼吸をしながら、一歩そしてまた一歩と登ります。途中、気温が下がってきたと思ったら、雪が降り始めました。聞こえるのは、メンバーの足音と呼吸音、そしてキリマンジャロの風の音。

5,000mを超えると、メンバーの歩調にも差が出始めました。思うように足が動かず顔を歪める方、顔色変えず黙々と歩く方、皆それぞれ自分と戦っていたのではないでしょうか。誰もが「まだ着かないのか…」と思った頃、先行していたグループから歓声が聞こえてきました。そして、少し明るくなった5時40分、全員がギルマンズ・ポイント(第一のピーク/5,690m)に到達。そしてさらに8名がウフル・ピーク(真のピーク/5,895m)へ到達しました。

雪化粧の山頂

私達はアフリカの大地の最高所から眺める、広大なサバンナを楽しみにしていたのですが、登山期間中で雨の降らなかったのは1日だけで、登頂日は予想外の雪でした。残念ながら頂上からの眺めは堪能できませんでしたが、登山中、雨のあがった夜には、手の届きそうな星空と眼下に広がるモシ町の夜景が美しく、標高3,000~4,000m付近の草原帯では様々な高山植物が私たちを癒してくれました。特に天空の星が青く瞬き、深夜にシリウスの南方に輝く南十字星を見つけた時は、遥か南半球のアフリカにいることを実感する時でした。

野生の楽園「サファリ」
登山終了後はもうひとつの楽しみ、2泊3日のサファリツアーへ。「サファリ」という言葉はタンザニアで生まれた言葉、スワヒリ語で「旅へ」という意味だと言われます。東アフリカにはマサイ・マラ国立公園(ケニア)やセレンゲティ国立公園(タンザニア)など多くの「野生の王国」があります。

クレーターに形成されたンゴロンゴロ自然保護区
クレーターに形成されたンゴロンゴロ自然保護区
間近に野生のライオンが!!
間近に野生のライオンが!!

今回訪れたのはタンザニアのンゴロンゴロ自然保護区で、1979年東アフリカで最初に世界自然遺産に登録された場所です。ンゴロンゴロ自然保護区の特徴は、標高差約600mのクレーターに囲まれ、火口原は約300km2の大草原や湖、湿地帯になっていることです。その植生(低草がほとんど)のため、キリンは生息していませんが、湖にはフラミンゴの群れ、沼地にはカバや多くの水鳥、そして、草原にはシマウマやガゼル、ヌー、アフリカゾウ、サイ、ライオン、チーター等々、多くの野生動物が生息しています。 

双眼鏡を片手に3台の四駆車に分乗し、開いた天井から顔を出して見る大自然は、正に「野生の王国」。最初に発見した野生のシマウマに一同大歓声。クレーターの彼方から湧きあがるような雲が流れてきて雨を降らし、虹のかかる様子や、母親に寄り添うシマウマの子供の様子は、皆をやさしい気持ちにさせてくれます。また、早朝の狩りを終え食事の済んだライオンが砂地で眠るそばで、ハイエナや鷲が食べ残しに群がる姿を観察でき、昔見たテレビのワンシーンと重なり感動しました。キリマンジャロだけではない、アフリカの大自然の魅力を満喫しました。

最終日、一路空港へ向かうマイクロバスの心地よい振動の中、旅の余韻に浸ります。 車窓からは広大なサバンナがどこまでも続き、天気が良ければキリマンジャロがぽっかりと浮かび上がるのですが、あいにく厚い雲の中でした。時々、マサイ族やその集落が見えては消えていきます。原色の衣をまとい長いヤリを持つ彼らのスラッとした姿が、最後にとても印象深く目に焼きつきました。(『風通信』2007年2月号から転載)