先週のシルクロードだよりで、西安の碑林博物館にある「大秦景教流行中国碑」のコピーが和歌山県高野山にあると知ったので、早速行ってきました。

高野山奥の院参道にある景教碑
奥の院の参道にあるとのことだったので、せっかくなら奥の院も参詣してしまおう! とはいえ、まず、最初は「景教碑」を目指します。案内書で地図をもらい、どの辺にあるか聞いてみましたが、「聞いたことない」とのこと。わざわざ高野山まで、「景教碑」を見に来る酔狂はいないようです。(でも、あとでゆっくり地図を見たら載ってました)早速一の橋から歩き始めましたが5分くらいのところで発見!正確な文言は一つも覚えてませんが、雰囲気は同じです。写真ではカットしてますが、西安のと同じように大きな亀さんに乗っていました。でも、表面の文章の下の方に書かれていた「古代シリア文字」の模写はされてませんでした。
そして裏面には、本物にあるかどうかわからぬ「卍」の印と、石碑の建立者イギリスのエリザベス・A・ゴルドン夫人の名前が漢字名で彫られていたのに感動しました。ちなみに、ゴルドン夫人は、東アジアの宗教を研究していて、明治末期に来日。仏教とキリスト教の根本は一つで、シルクロードを通じて文化の交流の結果派生したという説に触れる一方、空海は長安で景教(キリスト教ネストリウス派)に接し、それを密教教義に取り込んだ、と唱えたと聞いて、その真偽はわかりませんが、その説にはとても刺激的でワクワクさせてもらいました。
そんな彼女のお墓も同じ参道にあるそうです。(京都で亡くなられたそうです)ー宗派問わずの墓地、さすがふところが広い。

高野山奥の院参道にある景教碑

景教碑背面に刻まれたゴルドン夫人の名前
耶蘇紀元千九百十一年九月二十一日(西暦1911年9月21日)
大英國 耶利沙伯安那戈登(イギリス エリザベス・アンナ・ゴルドン)
その後、時間があったので、雨が降り出すまで奥の院まで歩いてみました。天気予報では雨でしたが、幸い小雨程度で、また雨が苔むした石塔や木々の命の息吹を吹き込んだのか、しっとりした緑が目に優しくよい気分転換となりました。
所々で、仏様が見守ってくださいます。

観世菩薩(高野山奥の院参道にて)

切り株に鎮座するお地蔵様(高野山奥の院参道)

雨あがりの苔むした高野山奥の院参道にて
戦国武将や江戸時代の諸大名の墓所や供養塔が立ち並ぶ「墓地」なのですが、陰気な雰囲気もなく、アップダウンもほぼなく、緑のシャワーを浴びながら心地よい散策となりました。

霧の中にそびえる杉(高野山奥の院参道)
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