ようやく春らしい暖かさとなってまいりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
当社では、ネパールやモンゴル、チベットなど、一般的な旅行会社ではあまり扱わない地域を得意としておりますが、実は “Kaze” とは少し趣の異なるツアーもいくつか企画しています。今回はその中から、「ニュージーランド」をご紹介いたします。
ニュージーランドはご存知の通り南半球に位置しているため、日本とは季節が逆になります。一般的に11月〜4月頃が、日本でいう春から秋にあたり、旅行シーズンとされています。
また、日本と同様に山が多く、トレッキングや登山を楽しめるコースが豊富です。その中でも特に有名なのが「ミルフォードトラック」です。お聞きになられたことはございますでしょうか?

海面から切り立つ断崖が美しいミルフォードサウンド
この道は“世界一美しい散歩道”とも称されるほど整備が行き届いており、世界中のトレッカー憧れのルートとなっています。
ただ、「散歩道」と聞くと気軽に歩けそうな印象を持たれるかもしれませんが、実際には決して簡単ではありません。長い日には20km以上歩くこともあり、峠越えの日には標高差約800mを登り、900m以上を下る行程もあります。
さらにこの地域は降水量が非常に多く、コンディションによっては登山道がぬかるみ、膝近くまで水に浸かるような場面に遭遇することもあります。
そのため、ある程度の登山やトレッキング経験がある方におすすめではありますが、特別な技術や装備が必要というわけではありません。トレイルはしっかり整備されており、宿泊する山小屋も快適な設備が整っていますので、歩けるだけの体力をお持ちで、雨対策などをしっかりと準備をすれば、どなたでも挑戦いただけます。また、最高地点でも標高は約1,150mほどのため、高山病の心配がない点も安心材料のひとつです。
さて、ミルフォードトラックについてですが、誰でも自由に歩けるわけではありません。自然保護のため、入山人数(1日約50名)が厳しく制限されていて、特に11~4月にかけてのトレッキングシーズン中は世界中から争奪戦状態になり、宿泊小屋の確保はもちろん、前泊や後泊のための周辺のホテルや移動手段の手配が非常に困難なのが特徴です。
コースは全長約54kmを3泊4日で踏破します。スタートはテ・アナウ湖を渡るクルーズから始まり、そこから森の中を歩いていくんですが、ニュージーランド特有のブナ林がとにかく美しい。日本の山とはまた違う雰囲気で、まるで映画の世界に入り込んだような感覚になります。氷河が削り出した渓谷、そして無数の滝が流れ落ちる景観は素晴らしいのですが、でも、やっぱり一番印象に残るのは、ミルフォードトラックのハイライト「マッキノン峠(標高1,154m)」です。

トレッキングのスタート地点へ向かうクルーズ

とにかく美しいブナ林

ようやく登り切った最高地点マッキンノン峠
正直、登りはそれなりにしんどいです。でも、頂上に立った瞬間、目の前に広がる大自然の景色がその疲れを一瞬で忘れさせてくれます。
あと、ミルフォードトラックは“滝の宝庫”でもあります。雨が多い地域なので、いたるところに滝が出現していて、そのスケールが日本とは桁違い。むしろ少し雨が降っている日の方が迫力が増してより印象的な景色に出会えることもあります。

雨の日には無数の滝が現れ迫力が増します!
宿泊する山小屋にはちゃんとベッドがあり、温かい食事も用意されています。テントや寝袋など重たい装備を持たなくていいので、荷物も比較的軽く済みます。
さらに、毎日同じメンバーと顔を合わせることで自然と顔なじみになり、仲間意識が芽生えていくのもこのコースの魅力と言えます。夜は国籍を超えて会話を楽しんだり、ガイドの話に耳を傾けたりと、とても楽しい時間を過ごせます。

暖炉も備わったロッジのラウンジ
スマートフォンの電波も届かない環境だからこそ、日常から離れ、大自然の中で過ごす時間は、間違いなく貴重な体験となるでしょう。
ヒマラヤやヨーロッパアルプスとはまた違い、あとからじわじわと心に響いてくる感動は、「ミルフォードトラック」ならではです。
一生に一度は、ぜひ訪れていただきたいトレイルのひとつです。
現地在住日本人トレッキングガイド小川美佐子さんと歩く

