第163回 ネソカン ~入院病棟にて~
ソナム先生と筆者 メンツィカンの病院から歩いて10分、急な階段を下った閑静な森のなかに入院病棟ネ(病)ソ(治す)カン(院)はたたずんでいる(注1)。80mほど病院との高低差があることから、年配のアムチたちは回診を敬遠しが […]
ソナム先生と筆者 メンツィカンの病院から歩いて10分、急な階段を下った閑静な森のなかに入院病棟ネ(病)ソ(治す)カン(院)はたたずんでいる(注1)。80mほど病院との高低差があることから、年配のアムチたちは回診を敬遠しが […]
文●小川 康 毎年8月に開催されるメンツィカンの薬草実習 伝統医アムチ 「自ら山に入って薬草を採取し、製薬し、心を込めて患者に処方できる薬剤師になりたい」。そう思って1999年1月、チベット医学を学ぶべくインド・ダラムサ […]
リンチェン先生の家族と。2000年撮影。 その日、家庭教師リンチェン先生(第85話)の様子があきらかに違っていた。「どうかしましたか」という僕の無粋な問いに答えは返ってこない。いつもの笑顔はなく手に数珠を持ちずっと真言を […]
ドラッグストア(イメージ) 退学を前提に、2004年6月、とりあえず休学という形でメンツィカンを飛びだして日本に帰国したものの、さて、これからどうしたものかと悩み続けていた(第60話)。医学部への学士編入、鍼灸学校への入 […]
アルラの異物除去 土曜日がやってくるたびにチベット医学生は気だるい雰囲気に襲われていた。なぜなら、メンツィカン製薬工場での労働奉仕の日だからである。仕事のほとんどは薬草の異物除去作業、もしくは高貴薬の包装作業など、製薬 […]
ダラムサラの風景 つい先日、懐かしい友人からメールが届いた。「はーい、カンチ(注 僕のこと)。いま、旅行で京都に来ているの。あなたに会いにいきたいけどお金も時間もなさそうね。東京行の切符を送ってくれたら会いにいってあげる […]
別所温泉から上田市街を望む 人生初のギックリ腰をやってしまった。3月、東京から上田・別所温泉への引っ越し作業中、重い荷物を運び終え、最後の最後、軽い段ボールを持ち上げた瞬間のことだった。油断大敵とはこのこと。ヒマラヤを […]
研修医時代の筆者(右奥) よく、日本人から「小川さんはどうしてメンツィカンの病院に残って働かなかったのですか」と質問されるのでこの場を借りて釈明したい。 振り返ってみれば、僕のメンツィカンへの入学は決してウェルカムではな […]
ヴムバジャさんとの異文化クロス対談神奈川県大和市国際交流センターにて 谷川俊太郎の詩『生きる』をチベット語に翻訳してほしい、と早稲田大学から依頼された。なんでも、小学校向けの多文化言語教材として世界の25言語に翻訳し、そ […]
図書館の前で幸せそうに眠る犬 いつも犬(チベット語でキ)が数匹、一緒に聴講していた。飼い犬というわけではなく、なんとなくメンツィカンに住みつき、授業となると必ず顔を出す。読経の時もお堂のどこかに居場所を見つけて寝ころんで […]
診察中の僕とデキ先生 2008年10月 ケリー(仮名)がやってきた。メンツィカン診察室の窓の下にタクシーが止まり、大柄な彼女が降りてくるのを見つけると研修医の僕は体を身構えた。いまデキ先生は不在で僕1人しかいない。 ケリ […]
黒板でできた教室 7月、越後妻有の農舞台(のうぶたい)のなかにある会場に足を踏み入れたとき、僕の脳裏にヘンゼルとグレーテルの「お菓子の家」が浮かんだ。なぜなら、この教室は四方八方の壁、床だけでなく、机、椅子、に至るすべて […]