道路事業が残す風景

つむじかぜ242号より


昨年の6月に結婚した姪が女の子を出産し、7/20に近しい親戚を集め祝いの会が催されました。何とかスケジュールを調整し、一泊二日で帰省してきました。

名古屋方面からは秘湯として人気のある昼神温泉のとある施設を借りての簡単な食事会でしたが、料理には、鯉のあらいなどがでて、懐かしい味を堪能しました。

昼神温泉に向かう道すがら、これまた懐かしい風景をあれこれ思い出しながら眺めていると、突然、見慣れない広い道に出てびっくり。何時の間にかバイパスが開いていました。「こんな道は、要らないんじゃないの?」と疑問に思って聞いてみると、「そうな、道ができても、通る車はあんまりおらんのな。知事が代わったもんで公共事業がまた始まって、この道ができたという訳な。」なるほど、さもありなんです。

このバイパスで、殆ど車の通らない“旧道の道沿い”になってしまった商店街に、親戚の呉服屋があります。そこの叔父さんが、この日も来ていたので聞いてみると、「田舎じゃあ、歩いて買い物に来る人など殆どおらんから、あんまり影響はないが、なんだかすっかり寂しくなったに。」と、顔の前で腕で×を組みながら話していました。

長野県飯田市は、これから益々変わると言われています。何故なら、リニアの駅が、ここにできると言われているからです。確かに便利にはなりますし、東京に通勤するのも可能になるかもしれません。しかし街は、その度に寸断され、昔の風景は無くなっていきます。

私も、思い切って顔の前で×を作りたいような気分になりました。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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