3.11、あの日から2年

つむじかぜ421号より


3.11から2年、新聞、テレビなどは、こぞって特集を組んだ。3/10日曜日の『NHKスペシャル』「3.11あの日から2年 メルトダウン 原子炉“冷却”の死角」をみて、私は大変驚き且つ恐ろしくなった。

『東京電力福島第1原発事故で、1号機の緊急時炉心冷却用の「非常用復水器(IC)」について、3月11日の津波後も稼働を続けていると、当時の所長らが誤認したまま事故対応にあたっていたことが6日、経済産業省原子力安全・保安院の調査で分かった。現場の状況把握を適切にできなかったことで、対応が遅れが出た可能性がある。』(2011/12/6、産経ニュース)

このICが実は稼動していなかったことを、同番組でも取り上げていたが、「豚の鼻」といって、ICから出ている2本の煙突から煙が出ていたことで、稼動していると勘違いしたというのだ。しかし、同タイプのアメリカの原発では、4年に一度ICを検査稼動させるが、「豚の鼻」からは、煙がモクモクと大量に出て轟音がすると写真を見せながら同原発のスタッフが答えていた。

1号機からは「モヤモヤとした煙」が出ていたそうだ。後になって分かったことだが、「モヤモヤとした煙」はICが止まって暫くすると出るものだそうだ。何故福島第一原発では勘違いしたのか。なんと、40年間、一度もICを稼動させたことがなく、「豚の鼻」から出る煙を実際に見たことがあるスタッフは、誰もいなかったというのだ。ICは、電源がなくても動く。もし、ICが動いていれば、1号機のメルトダウンは防げたかもしれない、と番組は締めくくった。

そして、4号機で行われた消防車から原子炉内に続く管を使っての給水が、実は、途中から別の管に流れていて、充分に冷却できる給水を行ったにも関わらず、55%は失われていて、その結果メルトダウンを招いたことも取り上げられた。

何故、別の管に流れていたのか。通常は、モーターが廻っていてその管には流れないそうだ。全電源が喪失していたのだからモーターが廻らず、その管に流れ込んだというわけだ。しかも、4号機原子炉内の水位が上がらないことは分かっていたが、原因が分からず、無駄にときを過ごし、水素爆発を招いたというわけだ。

こうした過失は、法的に責めを負わないのだろうか。私たちが、あの時テレビを呆然と見ながら福島の人のみか、日本の危機を強く感じたそのときに、現場は、こんな状態だったのかと思うと驚くと同時に恐ろしい。

私たちも、事故が起きた場合に備えてあれこれ対策を取るが、様々な場合に備えても決して十分とは言えないかもしれない。原発という、絶対に起こしてはならない事故への備えが、今後、十分と言えるものになるのだろうか。人間にそんなことが可能なのだろうか。謙虚になるべき時ではなかろうか。改めてそう感じた。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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