つけ麺

*風のメルマガ「つむじかぜ」709号より転載

先日、当コラムで立ち食い蕎麦について記した際、「大学に入学し、学食で最初に『てんつきそば』を食べたときは『安くて美味い』と感激した。『てんつきそば』とは『かき揚げたまごそば』のことだ」と書いたところ、「そんな蕎麦は食べたことがない。是非、食べてみたい」と蕎麦好きの方から感想を頂いた。申し訳ない。私の説明が良くなかった。「てんつきそば」とは、東京でいう「天玉そば」のこと。信州では何故か「天玉そば」とはいわず「てんぷら月見そば」を略して「てんつきそば」というだけのこと。いやはや誤解を招く稚拙な文章でお恥ずかしい。

またまた麺の話で恐縮だが、今日はあるつけ麺屋での話だ。私の食べ方の問題なのか、前々から、つけ汁が足りなくなるので足してもらっていた。いつも快く無料でサービスしてくれていたのに、つい先日「有料になります」と申し訳なさそうではあったが言われてしまった。「え?」とは思ったが、迷惑おじさんにはなりたくなかったので「ええ。結構ですよ」と言って値段も聞かずお願いしたら、レジで100円取られた。別に有料でもいいし100円でも構わないが、麺の大盛りは無料なのに何故と素直に思った。しかし、その場の雰囲気と店員の態度で積極的に「つゆを追加」販売する気なのだなと感じ、何も言わずに店をでた。

以前、会社の近くに行列のできるつけ麺屋があった。数年前に店主が亡くなって閉店してしまったが、店主は、「大盛りは、つけ汁の少し味を濃くして多目にする。だから大盛りが幾つか正確に伝えろ」と店員に指示していた。もちろん、この店は、麺大盛りは有料である。つけ汁は、追加しなくても済むように最初から配慮されていた。

商売とは面白いものだ。こんな些細なことでもその店の考え方が透けて見える。最近は、多くの店で麺の大盛り無料は当たり前になってきた。でも、つけ汁やつゆを無料で追加はしてくれない。原価で考えたら矛盾した話である。どう考えても麺の大盛りの方が高くつくはずだ。それに、公平感に欠ける。そもそも、大盛り無料は、大盛りを食べない人からすれば、なんだか損をした感じがする。旅行でも、そういうところはないだろうか。“人の振り見て我が振り直せ”である。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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