コロナ禍の出口

日本でもワクチン接種が漸く始まった。G7ではシンガリだというから大分後れを取ったようだが、日本の感染者数はG7の中では圧倒的に少ないから、落ち着いて対処できるとよいほうに考えるしかない。しかし、問題は、日本でワクチン開発がまだできていないことだ。

先日、「日本が『ワクチン開発競争に負けた』納得の理由」というニューズウィーク日本版の記事を見つけた。ワクチンが戦略物資であっていいのか、という根本的な疑問はあるが、今回のワクチンを巡る各国の対応を見ているとそう思わざるをえない。そして、「鈍感な日本」はワクチン開発に関して国家的な戦略が欠けていたということだけは確かだ。

この記事の中では、その原因として日本の政治的貧困も挙げられている。2009年に麻生太郎政権が新型インフルエンザワクチンを大量に輸入したが、民主党政権になってそのワクチンを大量に余らせたら、野党に下った自民党がこれを批判した。新型インフルエンザ流行後にはワクチン開発を資金的に橋渡しする厚生労働省の外郭団体もあったが、民主党政権の事業仕分けでやり玉に挙がってしまった。以来、ワクチン開発は国家戦略上の課題から消えてしまったというわけだ。要するに日本の政治は、長期的な国家戦略がなく、その場しのぎでやっているからこうなるということなのだろう。新型コロナワクチンの需要は数年間続くといわれている。今からでも間に合う。是非、日本での新型コロナワクチン開発を成功させてほしい。

幸いなことに、副反応への心配は当初の予測より軽微であり、今のところ大きな事故もなく安心して接種ができそうである。2021年度に65歳になる者は高齢者に数えられるそうだから、私もギリギリ優先的に受けられるらしい。もちろん、以前にワクチン接種などで強い副反応が出た方にとっては、恐怖は拭い去れないだろう。しかし、ワクチンの接種は、個人を守るという意味合いとは別に集団免疫を作ることも目的である。是非、集団免疫を獲得しパンデミックを終わらせたいものだ。

私は、8月初旬から「徹底した検査と無症状の感染者の隔離」を訴えてきた。結局、それは実現せず、政府はクラスター対策と2回の緊急事態宣言、さらには、過料を科すこととなった特措法で蔓延防止策と銘打ち、さらなる自粛要請を続けるようだ。緊急事態宣言が3月7日まで延期されたことで、事業継続を諦めてしまった経営者が目立つようになった。6月には雇用調整助成金も対象期間が終了して1年間のクーリング期間を空けないと貰えなくなる。その代わりに出向したら補助を出すとか、事業を転換して再構築したら補助金を出すといった制度も3月にはスタートするようだ。

いつまでも、助成金頼みとは行かないだろうが、昨年の3月末ごろから、海外旅行は閉じたままで弊社は何も環境が変わっていない。それでも、何とか、あれこれ工夫して粘ってきた。私は、危機の入り口は慎重かつ最悪の事態に備えようと心掛けてきた。まだ出口は見えないがワクチンで少し出口が先が見えてきたようにも思う。危機の出口は、大胆かつ事態の好転に希望をつなぎ粘っていこうと思う。

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