国家の意思

スーパームーンは雲に阻まれて小笠原の様子を映したテレビ画像でしか見られなかった。この次は12年後の2033年だそうだ。その時、私は古希を迎える。はたして、日本は、そして世界はどうなっているのだろうか。少なくともコロナのことは昔話になっていてほしいが、人類のウイルスとの戦いは永遠に続くといわれている。SARS、新型インフルエンザ、MARS、COVID19、古くはスペイン風邪に黒死病。これで終わるはずがない。

先日、JTBの方とあって話していたら、昨年度の同社の主要ブランド・ルック(海外ツアー)は、売上も取扱人数もゼロだったそうだ。100万人以上のお客様を失ったことになる。2020年度の海外渡航は、在留資格を持った外国人や限られたビジネストリップしか認められなかったから、観光目的のツアーが消滅しても不思議ではないが、改めてその数字を聞かされると暫く呆然としてしまった。

JTBに限らず、すべての旅行会社が、資産を取り崩し何とか資本の棄損を防ごうとしている。中には劣後ローンを組んで債務超過を回避しようという会社もある。その付けは、必ず後に回ってくる。いずれにしても、コロナ収束後の旅行会社の経営は、満身創痍ということになる。

唯一の希望は、海外へ行きたいという欲求が高まっており需要が一挙に戻ってくるだろうと予測されていることだ。米国も、ワクチン接種を条件に国内クルーズが再開されるという。欧米では、既に夏の旅行需要が戻ってきている。希望がなければ気持ちが続かない。既に欧米ではコロナは終わったかのような活気が戻りつつある。

しかし、日本は心配だ。ワクチン接種は遅れてはいるが、秋には50%、年末までには70%くらいの接種率になるだろう。日本は、すべてにおいて遅いが、やり始めれば確実に進むと思う。

問題はオリンピック・パラリンピックだ。私共はツアーを実施する際に、「弊社には安全確保義務があり最大限の努力はしますが100%の安全は保証できません」とお客様に申し上げている。

ところが、今回は、政府も橋本会長も100%の安心・安全を保障するかのようなことを繰り返し表明している。私には全く理解できなが、このままなら、国家の指導者が、国の大惨事になるかもしれない賭けに打って出て、それに私たちが付き合わされるということになりそうだ。

そして、目下の大きな懸念はインド型変異種だろう。英国型の変異種の1.5倍の感染力を持つといわれている。ならば、今のペースなら7月には東京で一挙に感染が拡大し、第3波の大阪のように医療が逼迫し、1回目の緊急事態宣言のようなロックダウンに近い状態を余儀なくされるかもしれない。そんなことを心配するのは、私の老婆心に過ぎないのだろうか。危機管理とは、そもそも最悪のことに備えて対策をとり何もなければ良かったということのはずだが、今回はそうはなっていない。

コロナ対策では右往左往して国家の意思が伝わってこなかったが、オリンピック・パラリンピックに関しては、とても強い国家の意思を感じる。疑問だらけである。

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