iPS細胞が輝くとき

6月8日、報道ステーションに京都大学ウィルス・再生医科学研究所の河本宏教授が出演し、キラーT細胞によるコロナ治療の話をされた。その内容に久々に心湧きたった。コロナ禍を脱しても10年以内にまた未知のウィルスが襲来するなどといわれたら、夢も希望も無くなるが、希望は捨てなくてもいいようだ。

抗体は、ウィルスが細胞の中に入ることを防ぐが、すり抜けて細胞にウィルスが侵入してしまえば為す術がない。ところが、キラーT細胞は、樹状細胞から体内に侵入したウィルスの情報を受け取って記憶し、ウィルスが細胞に侵入した後も細胞ごと攻撃して消滅させる。ならば、コロナが治癒した人の体内には、このコロナウィルスを攻撃するキラーT細胞があるのだから、これを抜き出して患者に投与すればいい。しかし、それだと免疫機能が働き拒絶されてしまう。そこで、京都大学ウィルス・再生医科学研究所が作っている拒絶されにくいiPS細胞を使って、コロナウィルスを攻撃するキラーT細胞を量産しようというのだ。iPS細胞は、どんな細胞にもなるし大量生産ができる。

夢のような話だが、この技術は、あの山中伸弥氏が所長をしている「京都大学iPS細胞研究所」とKOTAIバイオテクノロジース株式会社が、昨年の10月に開始を発表した「iPS細胞由来再生T細胞を用いたがん免疫細胞療法に関する共同研究」で既に使われている。

驚くのはこの先で、今回の新型コロナだけでなく、SARS、MARS、さらには今後現れる未知のウィルスにも対応できる。スパイク蛋白質が変異してもウィルスそのものの情報もキラーT細胞は覚えているので、変異には左右されず細胞ごと攻撃して破壊するというのだ。

ワクチン開発が日本は遅れ外国に頼る羽目になったが、これを可能とする技術は、日本だけが持っているとのことだ。3年は実用化にかかると河本宏教授は仰っていましたが、政府が強力に後押しし、今度こそ未知のウィルスと闘える国になってほしい。

ここに来て、ワクチン接種が、当初の予定よりかなり速く進んでいる。10-11月には希望者全員接種実現とまで菅総理はいい出した。日本は戦略なき国家だが、戦術をこなすことには長けている。ワクチン接種は戦術の段階にあり、日本の最も得意とするところだ。おそらく年末までには世界一の接種率になるだろう。

しかし、それで満足していてはいけない。同時に、世界に目を向けてほしい。ワクチンが届かない国が山ほどある。日本が世界平和への貢献を自認するなら、今すぐに、こうした国々に手を差し伸べてほしい。そうしないと、パンデミックは何時までも収束せず、多くの命が更に失われる。是非、お願いしたい。

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