本屋大賞の『同志少女よ、敵を撃て』と映画

本屋大賞の『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬著 早川書房)を読み始めたのと並行して、独ソ戦に関わる映画を見てみた。

「アンノウン・ソルジュアー 英雄な戦場」(2017年製作、2019年日本公開)
フィンランドは、1808年の第二次ロシア・スウェーデン戦争後ロシアに併合されたが、ロシア革命で独立。1918年に右派・白衛軍と左派・赤衛軍で内戦を経験。1939年から40年には、フィンランドに駐在するドイツ軍を撃つために侵攻してきたソ連と祖国防衛を掲げ「冬戦争」を戦う。翌41年~44年にはドイツの力を借りて再びソ連と「継続戦争」を戦ったが、45年には今度はナチスとラップランド戦争を戦った。冬戦争でカレリア地方などの国土の一部を失い、枢軸国に加わって再びソ連と戦い、最後はそのナチスと戦った稀有な国がフィンランドだ。この映画は、「冬戦争」で祖国防衛のために戦った4人の名もなきフィンランド兵士たちの姿を描いたものだ。あまりにもリアルで、合戦物のような戦争映画との違いが際立つ。米国の兵士の内面の苦悩を描いた物とも違う。ヨーロッパの伝統だろうか。どこまでいっても、祖国とは何か、愛とは何かを描いた映画である。

「ロシアン・スナイパー」(2015年製作、公開)
この映画は、第二次世界大戦中に309人のドイツ兵を射殺したソ連の女性狙撃手リュドミラ・パヴリチェンコを描いたものだ。『同志少女よ、敵を撃て』が描き出す年代と重なり、女性スナイパーという共通項もある。1942年、パヴリチェンコはパ米国ホワイトハウスに招かれ「私はファシストを309人射殺しました。あなた方は、いつまで私の陰に隠れていえるのですか」と演説し喝采を得たという。ソ連のプロパガンダに利用されたことも確かである。

「スターリングラード」
1941年から45年第二次世界大戦のドイツおよび枢軸国とソ連との戦い、いわゆる独ソ戦別名・東部戦線の内で、史上最大の市街戦と称されているスターリングラード攻防戦を描いたもの。独ソ戦の戦場は、普通の住民たちが住んでいる日常の生活の場。銃弾、砲弾が飛び交うその横で子供たちが遊び、洗濯し料理をする日常がある。今のウクライナと同じである。私は、市街戦の苛烈さをこのように描いた戦争映画を他に知らない。驚くことには、独ソ戦での犠牲者数は、ソ連約2000万人(現材のロシア発表では2660万人)/枢軸国約800万人~1000万人だといわれている。日本の太平洋戦争の犠牲者が民間人も入れて約310万人だからその数は凄まじい。

ウクライナへのロシア軍の侵攻が始まってから、私は、ロシアという国とヨーロッパという世界をほとんど知らないことに気づいた。ヨーロッパ史はまさに戦争の歴史である。しかもその度に、住民たちが多数犠牲になりパルチザンとしても戦っている。国を守るという土台が日本とは違う。しかし、江戸時代という約260年も続く平和な世界が日本にはあった。その価値もまた改めて感じる。さあ、日本はこれからどうなるのだろうか。心配である。

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