2022年本屋大賞

2022年本屋大賞が6日発表され、逢坂冬馬氏の『同志少女よ、敵を撃て』(早川書房)に決まった。実は、4/3の日曜日にAmazonで注文したので、今日にも届くはずである。

注文のきっかけは、YouTubeのテレ東BIZで、豊島晋作の「ロシアの論理で読み解くウクライナ危機」という動画を見たら、動画の最後で独ソ戦のことを知るならこの小説がお勧め、と紹介していたからだ。豊島曰く、歴史考証がとてもしっかりしていて大変よくできているとのことだった。

少々脇にそれるが、この動画を見ていて、私自身、ヨーロッパの歴史をほとんど知らないと改めて自覚した。「史上最大の作戦」という映画のせいだろうか、第二次世界大戦の最大かつ重要な戦いはノルマンディー上陸作戦だと思っている日本人が多かろう。私もその一人だった。しかし、事実は全く違う。独ソ戦は、1941年の6月にドイツ国防軍がバルバロッサ作戦でソ連に侵入して以来4年近く続く。

そもそも、第二次世界大戦での死者は、民間人を入れるとソ連が2,060万人、ドイツ側が689万人、ポーランド603万人(内ユダヤ系市民270万人)、ユーゴスラビア171万人、オーストリア118万人と東ヨーロッパの戦いで凄まじい数の人間が死んでいることが判る。中でもソ連は飛びぬけている。これは、独ソ戦が如何にすさまじかったかを示している。(数字は、『戦争による国別犠牲者数 – 人間自然科学研究所』より)

ちなみに日本の死者は310万人である。もちろん、死者の数の多寡だけが戦争の苛烈さを示すわけではないが、独ソ戦では、その死者は、ソ連とドイツを合わせると日本の10倍近い。この事実を私たちは知らない。もちろん、日本が本土決戦にまで至っていれば、更におびただしい戦死者が出たのは明白だが、そうなる前に日本は何とか止まった。ソ連は、国土が戦場となり多数犠牲者が出た国である。

本の話に戻そう。著者の逢坂冬馬氏は受賞インタビューで「私の心は、ロシアによるウクライナ侵略が始まった2月24日以降、深い絶望の淵にあります。このナチスによるポーランド侵攻、満州事変に匹敵する、むき出しによる覇権主義による戦争が始まったとき、私はこの無意味な戦争でウクライナの市民、兵士、あるいはロシアの兵士がどれだけの数だけ亡くなっていくのだろうと考え、また私自身が書いた小説に登場する主人公・セラフィマがこの光景をみたならば、どういう風に思うのだろうと考え、悲嘆に暮れました」と答えた。

まだ37歳の逢坂冬馬氏のデビュー作である。今日は、早く家に帰ってじっくり読もうと思う。

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