エンゲージメントプログラム

メガネは時々調整が要る。智(よろい)の部分のねじを締めなおしたり、鼻パッドの高さの調節・交換、フレーム全体の歪みの調整などだ。それほど時間もかからないし、メガネ屋さんも部品の交換では多少のお金は取るものの、調整などは無料でサービスしてくれるところが多い。しかし、メガネそのものを買ってもいない店で、そういうサービスを受けるのは心苦しく行き辛い。

3か月ほど前から、レンズのコーティングが剥げてきてしまったのでそろそろ買い替え時だと思っていたが、そうしたサービスも気軽に受けられるようにと考え、今回は会社の近くの商店街で買うことにした。比較的値段の安いチェーン店もあるが、昔からある小さなメガネ屋さんを選んだ。

土曜日だったせいか、店には店員4人と私の他にお客が2人もいてカウンターは一杯の状態だ。6年ほど前に家の近くで購入したときもそうだったが、近眼が戻ってきている。戻るというと目が見えるようになるのかと思ったら、一様には戻らないので見えるようになる訳ではない。今回も左目がかなり戻っていて、しばらく前からどうも左目が合わないなと感じていた。メガネが合わないと酷いときはめまいがして仕事どころではない。

「原さん、住所などは変わっていませんか?」「はい」「20年前に一度買っていただいておりますね」「そうでしたね。覚えています」この店の前を通る度に浮気をしているような気分にさせられていたが、これからは、堂々とこの店の顧客として立ち寄れる。

それにしても、そんな前の記録があるのかと驚いたが、20年前に店が作った手帳くらいのカードを引っ張り出してきて、若い店員が愛想よく話しかけてくれた。「当店では、過去に一度でも購入していただいた方には5,000円の割引をいたします。」実に単純明快で解りやすい割引サービスである。今時、手書きのカードで顧客管理とは驚くが、十分それでこの店は長年やってきている。物事をシンプルに考えるとはこういうことかと、つい唸ってしまった。

最近は、マイレージサービスのように利用頻度や利用額に応じてサービスが異なるものや、無料会員、有料会員に分けて特典に差をつけるサービスなどもある。欠点は、複雑すぎて分かり難いことであり、且つ、かなり頻繁にサービス内容が変わることではなかろうか。その上、沢山お金を使うように誘導されているように感じてあまり気分は良くない。

こういうのを「エンゲージメントプログラム」というようだが、弊社には、そういうサービスが殆どない。コロナ禍を経て、感謝する方々が大勢できた。やはりそういう方々には、何らかの感謝の気持ちを表すような何かを考えてもいいのではなかろうか。と最近感じるようになった。しかし、まだまだ、コロナ禍から抜け切れていない。もう暫くしないとそういう余裕も出てこない。このメガネ屋さんと弊社では商売の仕方も商品の性格も何もかもが違うが、そのシンプルさを見倣いたいと思う。

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