風の旅行社・チベットガイド列伝 その2 〜ダワ・ツェリン(泰男)編〜 [LHASA・TIBET]

今日のチベットガイド列伝は、泰男ことダワ・ツェリン。 泰男は、風ツアーのチベットガイドである和恵やサクラとともに、昔チベット大学で僕の生徒であった。 彼の日本の名前である「泰男」は、「日本語のラマ」として僕が7年前につけたものだ。

チベット語で、ダワは「月」、ツェリンは「長寿」の意味。 月、長寿ときてすぐに思いつく日本語の名前がなかったので、僕の気まぐれなインスピレーションで泰男(やすお)と勝手に名付けさせてもらった。 本人がこの日本語の名前をどう思っているか知る由もないが、この名前はクラスメートやお客さんたちに広く親しまれているので、よしとしておこう。

アニラとヤスオ
(聖地洞窟の尼さんと泰男)

さて、やはりチベットに来られる皆さんは、チベット人のガイドに案内して欲しいはずである。 ロンドンにきてフランス人のガイドを雇ったり、奄美大島にきたのに京都人をガイドにするほど滑稽な話はなく、やはり現地の人に案内してもらいたいと思うのは、旅行者の自然な気持ちである。 

父母ともにチベット人で、心身ともにチベット人の血が流れている、コテコテのチベット人。 自分も周りの人間も自分をチベット人と認めている。 そういうチベット人がガイドをするのと、外からきた人間が、いくらチベット語に堪能で、チベット文化の知識があるからといっても、「質」というか「迫力」がまったく違うのである。 まさに月とすっぽん。 チベット人はチベット人として「生きている」のであるから、当然といえば当然か。

泰男はそういうチベット男である。 彼は、ラサの東にある、ガンデン寺の麓の村に生まれた。 父母とも遊牧を生業としていた。 そのせいで、彼は物心ついた頃から、羊飼い、ヤク飼い、馬飼いなど一通り遊牧業を手伝わされ、標高5000メートル前後の山々を走り回っていたらしい。 本人曰く、「私の体力の全盛期は10歳のころ」。

両親、祖父母とも学のある人だったらしく、遊牧を手伝わされながらも、「わしらはどうせお前より先に死ぬんやから、一人で生きていけるように、ちゃんと勉強しておけ」と家を追われ、学校にはちゃんと行っていたらしい。 そしてその親の方針のおかげか、生まれつきの頭のよさのせいか、中国政府の奨学金で中高時代、中国内地で勉強をすることになった。 その後、チベット大学で数年間日本語ガイドの訓練を受け、そして今、風のチベットガイドとして活躍している。 

彼のよさは、非常に機転がきくところだ。 必要とあらば、すぐに行動にうつし、お客さんの要望を叶える。 彼は体力があるのでよく西チベットのカイラスツアーにかりだされるが、お客さんの評価も「ハプニングがあっても、どんなにしんどくても、嫌な顔ひとつせず、私達の希望をきいてくれた」というのがほとんどだ。 もちろん日本語も問題なし(僕が彼の先生をやったので当然か。笑)。

また泰男は、相手の気をひこうと意図的にウケをねらうのでない、天然の「ひょうきんさ」も持ち合わせている。 これはチベット人の特徴といってもいいのかもしれない。 (チベット大学時代のヤスオ伝説がいろいろあるが、これは機会をあらためてまた書こう) 

僕は数週間前、彼と二人で一週間近く洞窟巡礼旅行に行ったが、「こんなに頼りになる奴だったのか」と改めて感心した。 そして、こっちが知りたいと思うことを先回りして話してくれる、気配りというか機転も持ち合わせている。 チベット初心者やチベットファン、そしてチベット研究者まで、彼は守備範囲広くガイドができる男である。 

風のお客さんはぜひ、彼の遊牧生活のことや家族の話を聞いてみてください。 おそらくは、もっとも濃い「チベット体験」になることでしょう。

Daisuke Murakami
6月20日 
天気 晴れときどき曇り
気温 12〜27度 
服装 シャツ+長ズボンが一般的。 紫外線がかなり強いので、日焼け対策は必須。 熱射病対策に、帽子もかぶられるとよいでしょう。 異常乾燥注意報も発令しておきます。 あと雨具は必ず持ってきてくださいねー、念のため。

シェアする