風の旅行社・チベットガイド列伝 その3 〜 ダジュン(和恵)編 〜[LHASA・TIBET]

今日は風の専属ガイド、ダジュン(和恵)を紹介します。 
彼女のことはもう書く必要がないかもしれない。 あまりに日本で有名(?)になっているからだ(笑)。

少なくともそう僕には思える。 彼女の人柄に接したお客さんは、「大袈裟ではない」と思われるであろう。 それほど、彼女は優しく純粋で、我々の心にふかーい印象を与える女性なのである。 このことは、和恵の結婚式の記事に書いたので、今回はごくごく簡単に。

和恵の結婚式にて

(和恵の結婚式にて; 隣はチベット人になりすました筆者)

ダジュンという名は、実は本名を短縮させた通称で、フルネームはダワ・ドマ(ドルマ)という。 チベット語でダワは「月」、ドマは「ターラ菩薩」の意味。 想像力の乏しい僕は、月、ターラ菩薩ときて、パッといい日本語の名前が浮かばなかった。 そこでこれまた天啓のように「和恵」と名付けたのだ。

「わ」の「めぐみ」と書いて、和恵。 日本(和)の恵み、とは偶然ながらも我ながらいい名前をつけたものだと自画自賛する。 

先月こんなことがあった。 
あるガイドが急用で外出できず、急遽和恵にバトンタッチ。 彼女はまだ生まれて数ヶ月しかたたない乳飲み子がいる。 だが嫌な顔ひとつせず、自分の結婚式の時のチュパ(チベット民族衣装)を着て、お客さんを青蔵鉄道ラサ駅に颯爽と出迎えた。 僕は彼女のことが少し気になりながらも、ホテル・ロビーにやってきたお客さんに神経集中。 ガイドが突然変更してしまったからだ。 「・・ 前もって申し上げていたガイドが急用で来れなくなってしまいました。たいへん申し訳ございません。今回は・・」と恐る恐るご説明していたところ、和恵が一言、

「これも何かのご縁かと思います、これから一週間、みなさん宜しくお願いします。」

と和恵スマイル。 しびれた〜。 
長時間の鉄道でお疲れにみえたお客さんが、一気に和やかになられた。 
そう、彼女はマジックを使うのである。 「お前どこでその表現、そのタイミング覚えたんや」と感心してしまうが、これはおそらく生まれながらのもの、そして彼女の慕うお母さんから受け継いだものだと察する。

この間の別のお客さんは、「くっつきすぎもせず、離れすぎもせず、ちょうどいい距離感で接してくれる、とてもいい人」と和恵を絶賛しておられた。 

「ちょうどいい距離感」で人と接するのはとーっても難しい。 我々がよく経験するように。 ちょうど居心地のよい距離感を保つことは、よくアジア人・日本人の美徳と語られることもあるが、どれだけ我々がそれを実践できているか。 和恵からチベットのことを学びながら、古き良き日本の恵みを感じとるひとは、多いであろう。 

Daisuke Murakami
6月28日 
天気 曇りときどき晴れ
気温 10〜24度 
服装 シャツ+長ズボンが一般的。 紫外線がかなり強いので、日焼け対策は必須。 熱射病対策に、帽子もかぶられるとよいでしょう。 異常乾燥注意報も発令しておきます。 あと雨具は必ず持ってきてくださいねー、念のため。