雲の不思議 [LHASA・TIBET]

夏のラサは雨季。
雨季ということは、雲が多いのである。

曇り空のまま朝を向かえ、午後は雲間から陽が射し、夕方を過ぎるころになると
再び雲が出てきて、夜は雨、というパターンである。 

そして雨とはいっても、日本のようなシトシト雨でもなく、熱帯地域のスコールのようでもなく、
まことに「どっちつかずの中途半端な雨」なのである。
日傘は持っていても雨傘を持たないラサ人が多いのは、この理由からだと思われる。
 
ここ十日ほどは、雨のお陰で空気が洗浄され、気温も下がってくれているのだが、
またいつこの恵みの雨が終わり、暑さが舞い戻ってくるか分からないので、
これからラサに来られるみなさんは猛暑対策も忘れずに!

*  *  *

ところで、チベットの雲は面白い、のである。
10年近く前、初めてラサに住み始めたころ、雨季になるたびに僕はワクワクしていた。
それは、不思議な様相の雲が漂うことが、多かったから。
デジカメで雲ばかり撮っていた時期もあり、同居の留学生たちは苦笑していた。
が、なんとも形容し難い、何らかのメッセージを伝えているかのような、
アクセントを帯びた<強い雲>ばかりだったのである。
まるで、青空に句読点が打たれたかのようであり、
日本で見るものとは明らかに<触感>が違っていた・・・。

spiral

ポタラそばで見た、螺旋状の雲 ―
チベット仏教では右回りだと吉祥、左回りだと不吉と読むが、単純にそのままそう読んでよいものか。
実は、面白い雲というのはメッセージを読みとるのが難しく、
「メッセージの存在」だけがほのかに感じられるだけなのである。

昔からチベットの聖人たちは、
アクセントの強い「兆」から、自然や社会の暗号を読みとってきた。 
チベットの宗教文化では、言葉で表現できないものを指し示すために
昔から様々な<象徴体系>が発達しており、あるメッセージを刻み込んだり(encode)、
逆に読み出したり(decode)する作業は、割合日常生活の中で行われていたのである。

そして雲のカタチも無論、その対象になっていた。
そして興味深いことに、チベットの雲は、
<象徴の世界>の中で戯れさせてくれるようなものが、なんとも多いのである。

では、下の写真はどうであろうか。

pic-in-pic

これは、写真の写真。
バルコル近くのある小さいお寺で、この写真は大事そうに祀られていた。
見ると分かるように、雲の先端部分が、ヒトの顔、それもお釈迦様のお顔のようになっている!
これは象徴どころか、そのままの「現し顔」である!!

square
(拡大写真)

お寺の尼さんが語るに、
そのお寺に熱心にお布施をするある老婦人が、
ラサ北方にあるナムツォ湖に巡礼に行ったときのこと。
信仰心の篤いその老婦人が湖のそばで祈っていると、
上空の雲のカタチがみるみるお釈迦様のお顔になった・・・、そうである。

まるで「日本昔ばなし」を聞いているかような気分になってくるが、たぶん本当であろう。

来月中旬には僕が同行するツアーがあるが、
なんと、ナムツォ近くでキャンプで一泊する。 もちろんナムツォ巡礼のためである。
季節も<雲加減>がよいこの頃。
この日記を書いているうちに、楽しみがひとつふえた。

Daisuke Murakami

shilo
「今日も雨、だにゃぁ・・。」

7月23日
(ラサの)天気 曇りときどき雨
(ラサの)気温 11~23度 
(ラサでの)服装 昼間はTシャツ、シャツなど。 夜はシャツ、フリースなど。 日焼け対策は必須。 空気は乾燥しています。雨具は持ってきてください。

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