ウズベクの聖なるハンマム 2

前回に引き続きまして、今回は具体的にあかすりとマッサージの様子をお伝えいたします。

上の写真の奥にある扉がサウナへと続く扉です。

頃合いを見てあかすりおばちゃんが「どうよ?」と訊きに来ます。加減が良ければあかすりがはじまります。道具はすべてハンマムで揃えてあるので、持参しなければならないものは特にありません。
まず、最初の部屋にあった台座の端に腰を掛けると、正面にあかすりおばちゃんが座ります。そして私の右腕をとり、ごしごしとこすっていきました。私にとっては人生初めてのあかすり体験です。あかすりをすると、自分の垢の多さにびっくりするとよく言われますが、そんなに大量の垢は出なかったようでした。薄暗かったためよく見えなかっただけなのかもしれませんが。右腕が終わると左腕、首、胸、お腹、両足と順番にこすります。
体の正面が終わると次は立って背面をこすられます。出てきた垢をすべてお湯で流すと、石鹸を体に塗りつけて洗い、お湯で流し、今度は頭も含め全身をシャンプーで洗っていきます。

体をきれいにして、またおばちゃんに手を引かれながら脱衣所に戻ると、空気が冷たいです。でも、体を冷やす間もなく受付おばちゃんが大きな布でくるんでくれました。まるで自分が小さな子供になったような気分でした。そして甘くないタイプのミントティーを差し出されて一息。少し休むと今度はベッドにうつ伏せになるよう促され、マッサージがはじまります。

マッサージをはじめるにあたって、体にバラの香りの膏を塗っていきます。背、腕から指、おしり、脚の順に押したり揉み出されたりしました。マッサージといってもツボマッサージではありません。ツボマッサージの気持ちよさは期待しない方が無難です。力任せにぎゅうぎゅうされますので、痛かったら声に出してみましょう。マッサージおばちゃんがピャッと驚いて飛び跳ねんばかりの様子が可愛らしいです。また、気持ちがよくて歓声を上げる場合も「大丈夫、セニョーラ!? 痛かった?」と心配して聞いてくれます。
仕上げにベットの上に座って、頭や首や肩を叩いたり圧をかけたりすると終了です。ここに書いたものはハンマムでのフルコースになります。肌が柔らかくなり顔の輪郭もスッキリしていました。地元の人は基本的にサウナに入って体を流すだけで、普段からマッサージを受けにくるわけではないようです。日本の銭湯とほとんど同じ感覚なのだと思います。

結局、ハンマムを出たのは18時半頃でした。18時までの営業だったにもかかわらず、おばちゃんたちは最後まで笑顔で見送ってくれました。

そういえば願いごとが叶うと言われていたことは、ハンマム体験をしている間すっかり忘れていました。が、この先もし自分の身にとても良いことが起きて、そのときこのハンマムやハンマムで出会った人たちを思い出したらならきっと願いが成就されたということになるのでしょう。その日がいつになるか、いつか来るかもわかりませんが、それまでは異国の地でのほかほかした思い出だけ大事にとっておこうと思います。

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