お相撲大好き中村です。
一年納めの九州場所は、優勝争いのトップを並走していた横綱大の里が怪我のため千秋楽にまさかの休場となりました。結びの一番で大関琴櫻を破って3敗を守った関脇安青錦と、大の里との横綱同士の一番が不戦勝となった豊昇龍による優勝決定戦の末、安青錦が初優勝と新大関を手中に収める結果となりました。安青錦は新入幕からわずか5場所、入門してからわずか14場所での大関昇進は史上最速です。来日して3年、若干21歳ながら末恐ろしい活躍ぶりです。
優勝争いのトップを走っていた横綱大の里の千秋楽の休場は、これまででしたら「だらしない」と一喝されてしまうところですが、「私なら痛み止めを打っても出場した」と言った解説の舞の海さんが逆に批判されてしまうのが今の世の流れです。大怪我を押して優勝決定戦に出場し「痛みに耐えて」優勝した貴乃花(2代目)がその代償として力士生命を縮めてしまったことを考えると致し方ないことだと思います。大の里もまだ入門して3年弱です。横綱になってわずか3場所の25歳の横綱にはこれからも長く頑張っていただきたいので、無理をせずにしっかり怪我を直していただきたいです。
とは言え、横綱対決がなくなり大変残念でした。合い口を考えると大の里が優勝決定戦に出ていたら安青錦が優勝した可能性はグッと下がったことでしょう。安青錦は勝負運も持っていますね。
さて、優勝した安青錦ですが、身長は182㎝、体重140㎏は幕内力士の平均より若干小さいくらいの体格で決してサイズに恵まれているとは言えません。本名はダニーロ・ヤブグシシン、出身はウクライナ中部のヴィーンヌィツャです。ウクライナ人の友人によると「日本でいえば茨城県くらいの田舎」だそうです。ウクライナ戦争後に来日して現在に至るストーリーはマスコミを連日騒がせているのでここでは割愛させていただきます。
まったくの余談ですが、このウクライナ人の友人は私の北京留学時代のルームメイトで、安青錦の優勝と大関昇進を祝うメッセージを送ったら「彼は日本でいえば茨城県くらいのウクライナの田舎の出身だ」と言い出して「茨城の人に怒られるぞ」と返すと「留学仲間に茨城県出身の日本人がいましたが、茨城は田舎だとあなたが言っていました」と30年近く前の話を持ち出されました。発言には気を付けなければなりませんね(笑)。その彼は、日本女性と結婚して成田周辺に住んでいますが「ここも田舎です」と言っていました。
この力士はとにかく体勢が低くて決して頭を上げないのが特徴です。また、低い体勢からの寄りが得意ですが、内無双という捻り技も得意としています。低い体勢で組んだまま相手の膝の内側を掬い上げる技で一瞬で決まるので、何が起きたか分かりにくいのですが、魔法のように相手の出足が止まり、あっという間に土俵に這いつくばってしまいます。今場所も千秋楽に大関琴櫻をこの技で破っています。気になる方は是非、動画検索をしてください。
この安青錦の憧れの力士が、私も推している若隆景です。小兵ながら低い体勢から相手の懐に入って力を発揮する相撲巧者で、相撲のスタイルが似ているので良い目標となったのでしょう。寡黙であまり感情を表に出さないところもよく似ています。旧き良き「お相撲さん」というイメージです。安青錦の師匠の安治川親方(安美錦)も、よく似たタイプでしたが、そういう教育をされているのでしょう。その憧れの若隆景より先に大関になってしまったということですが、今場所、若隆景は安青錦に勝っています。若隆景も負けていられないという気持ちになっているでしょう。早く怪我を治して復活していただきたいです。
一方「ここ一番に強い」と評価していた横綱・豊昇龍は、2場所連続で優勝決定戦で敗退しました。相当悔しい思いをしていることでしょう。ここが正念場だと思って初場所に臨むと思いますが、2場所連続で優勝同点は十分に立派な成績です。力が入り過ぎると空回りする傾向もありますので、師匠の立浪親方のいうように「楽しんで」いただきたいです。
さて、九州場所が終わると間もなく師走。寒さも本格的になってきました。我が家の食事も手間いらずで野菜も取れて身体も温まる鍋が増えて相撲部屋のようになってきました。年末年始を海外で過ごすお客様へのご案内が本格化します。お出かけになるお客様は、出発前に体調を崩さないようにお気をつけてお過ごしください。

朝青龍の四股名の由来となった高知県の青龍寺(しょうりゅうじ)
コメント一覧
もりひろ2025.11.27 09:38 pm