colorful。
もし、「ネパール」をたった一語で表せ、と言われたら、そう答えると思います。
初めてカトマンズの旧市街を歩いたときに目にした、濃い色彩の数々。
それは、寺院に掲げられた五色のタルチョやあちこちに供えられている黄金色のマリーゴールド。チョーク(旧市街の路地)に並ぶ野菜やスパイス、行き交う女性たち鮮やかなサリー。土産物店で目にする色とりどりのフェルトグッズやミティラーアート。
さらには多様な民族と信仰、そしてそれぞれの神様までもが混然一体となって動いているその様を見て「カラフル」という言葉がぴったりだな、そう思っていました。
そんな自分のイメージである「カラフル・ネパール」を具現化してくれたかのような本が、つい先日出版され、早速入手いたしました。それがこちら『トレッキングとポップな街歩き ネパールへ』(イカロス出版)。
表紙はレインボー!
まず装丁がレインボー! カラフルです。そして中身も、タイトルに違わず「ポップ」です。ページをめくれば、要所要所のデザインが可愛くて、女性の心はワシッと掴まれてしまいます。そして著者である矢巻美穂さんはプロのカメラマンさんであり、文章だけではなく写真も担当。ネパールの人の表情、街並み、食事、雑貨の物撮り…当然ながらどれも素敵に切りとられています。
内容はというと、目次を参照すると、エリア情報としてはカトマンズ盆地とポカラが主に紹介されています。トピックス別の情報としては、ヒマラヤ・トレッキング、ネパールのごはん、そして雑貨や工芸品の情報。とりわけ「美味しい」「可愛い」情報が充実していて、本を手にしたその日のうちに、社内の女性スタッフ陣やネパール企画担当者に、「見て見てこれ〜!」と触れ回ってしまったほど…。
ふだんの業務でツアーパンフレット制作に携わっている私としては、しょーじきに言ってしまえば、悔しいぞ!という気持ちがあるのは確かです。
でもそれよりも、この本を手にして、ネパールの新しい魅力に触れられた喜びが何倍も大きいのでした。
ダルバートやモモ、チョウメンなどなど。
定番料理も並べると壮観!
色鮮やかなフェルトグッズやペーパークラフト
ネパールのお土産は、ここ数年の間に、クオリティがぐっとあがった印象があります
アサンチョーク、インドラチョークなど、活気あふれる旧市街
巻末の「おわりに」を読むとお分かりになることなのですが、この本の取材がひととおり終わったのは今年の4月。その後、大きな震災がネパール全土を襲いました。版元としては刊行延期も検討したそうです。しかし「ネパールは観光の国です。どうか、私たちの希望を消さないで」(「おわりに」より引用)という現地からのメッセージを受け、著者、編集者の熱意あって、このタイミングでの出版が決まったということなのです。しかも、震災後の状況をふまえて写真や文章がリバイスされていることが分かります。よくぞこの短期間で…と頭の下がる思いです。
「ネパールのことなら風にお任せ!」と言っていただけるような自負をもって、ネパールの旅をつくってきた風の旅行社にとっては、内容面もその志も、心強いガイドブックの登場です。
立場は違えど、ネパールが好き、これからも応援していくぞ!その想いは共通していると感じます。
ネパールを知りたい方はもちろんのこと、すでにネパールを訪れたことの方にとっても、新しい魅力を発見できること間違いなしかと思います。見かけたら、ぜひお手にとってご覧になってみてくださいね。