『失敗の本質』

今、読んでいる『失敗の本質』(戸部良一他5名著 中公文庫)という本は、1991年8月が初版である。そこからなんと71版を重ねているから大したものだ。ダイヤモンド社から単行本として刊行されたのは1984年5月だから、もう35年も前になる。もっと早く読むべきだったと思うが、最近、コロナ禍にあって、リーダーとはどうあるべきかが問われ、各国のリーダーたちが比較されているのを傍から見ていて、ふと、前から気になっていたこの本を買ってしまった。

まだ、100ページほどしか読んでいないが、じっくり、繰り返し考えながら読んでいる。太平洋戦争の全体像を大枠でいいから把握していないと、読んでも理解がおぼつかないかもしれないが、現代に通じる内容だと思う。

真珠湾の翌年の夏、ミッドウェイ海戦で、日本は虎の子の空母を3隻失い、その後の戦いの敗北につながっていく。戦略、戦術的な敗因は、諸所、指摘されているし、何よりも、海軍の暗号を米軍に解読されていて、奇襲作戦だったにもかかわらず、作戦が筒抜けだったから負けて当然くらいに言われる。しかし、そういう物量や国力などで大雑把に見るのでも、将棋の棋譜を遡るように、作戦の内容で敗因を突き止めるのでもなく、組織論、リーダーの資質、特に決断力などを見ていくと、現在に通じるところが多々ある。この本には、そういうことが多く書かれている。

例えば、戦争とは、錯誤の連続でありそれは避けられない。その錯誤の修正力と次に進む決断力こそが勝敗を決するといわれる。ミッドウェイ海戦当時は、まだ、日本海軍の方が米軍より軍備が勝っており、海軍は、勝利を確信した戦いだったが、情報を軽視し、事前の予想に反した時の対応力・修正力に欠け、なおかつ、目的がミッドウェイの占領なのか、米国海軍の殲滅なのかもはっきりしていなかったというから驚く。その結果、それとは対照的な米軍のリーダーたちの果敢な決断による総力戦に屈した形になった。

今のコロナへの各国のリーダーの戦い方を見ていると、誤謬を認め修正し決断して前に進む、それこそが必要だと思えてならない。それを支えるのは、概念把握だと思う。ステークホルダーたちの綱引きに巻き込まれたらリーダーは終わりである。超然として大所高所から判断をしなくてはならない。こういう状況のなかで、人のことはあまり批判したくはない。今は、なにはともあれ頑張ってほしい。私は、私自身の問題としてこの本を読んでいる。じっくり考えながら読み進めたい。

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