「正しい」お布施の仕方 〜その1〜 [LHASA・TIBET]

まず断っておかなければならないのは、「正しい」お布施の仕方など存在しないということだ。 自分の気持ちや信仰心や下心(?)でお寺にお布施をするのであって、誰かにどうのこうのと指図を受ける必要はない。

それでもやはりチベットのお寺や僧院にお布施をどれだけどのようにしたらいいのか、チベットに実際住んでみないとよく分からないものである。

とりあえずの僕の独断の指標はこうだ。 ある程度有名なお寺やラサの寺院は比較的潤っている。 ほうっておいてもラサ巡礼に来るチベタンや、年々増え続ける観光客のおかげで、「お布施」(観光客の場合、「チケット代」という形ではあるが)は集まってくる。 「成金ゴンパ」と呼びたくなるような、豪奢なところもあるが、僕はそういうところには一角(一元の十分の一)たりともお布施などしない。 本当にお布施が必要なところ− それは、田舎の名も知れないようなお寺たちなのだ。

そういうお寺は、文革が終わって30年たった今でも、傷跡が生々しい。 チベットの多くのお寺は、紅衛兵に(時にはチベット人自身によって)徹底的に破壊され、略奪された。 (外見だけでも)見事に復興されているのは、観光資源になるようなお寺、そして幾千もの山を越え、谷を越えて、チベットじゅうの信仰が集まるごくごく一部のお寺だけだ。 

僕が二ヶ月ほど前、風の旅行社に無理を言って、調査に出してもらったゴンパは、チベットの中世には万単位で行者がいたといわれるところだ。 今は数十人しか僧はいない。 お寺の復興、改修のために、まず車が通れるように山道を整備せねばならず、その為にそのゴンパの高僧を慕う中国人とアメリカ人信者たちが多大な寄付をしているという。

この田舎ゴンパは過去の栄光もあって恵まれているといえよう。 でも大多数の小さい田舎のゴンパは地元の村人のささやかなお布施しか頼るものはない。

ちょっと話は飛ぶが、酷い話を聞いたことがある。
10年ほど前か。 日本のある団体がチベットに仏塔を建立しようとした。 建立するために払った「お布施」は何千万円。 でも実際に作られた仏塔の「建立費」は、僕の一ヶ月の給料の半分ぐらいだったようだ。 「お布施」のほとんどはゴンパや僧侶に直接行かず、例によって闇の中に消えてしまった。 

こんな情けない、頭の悪い、ウ○コちゃんのような過ちは絶対にしてはならない。 同じ日本人として非常に恥ずかしい。 上の仏塔プロジェクトに関わったチベット人と話したことがあるが、「そばでみていて、アホらしかった」と言っていたのをよく覚えている。

ラサにいるバックパッカーたちよ、
ガイドブックや評判に惑わされず、田舎へくりでるのだ。 そこでは現代化ラサからほど遠い世界が広がっている。 バックパッカーのみんなはお金を切り詰めて旅行をしているので、お布施をしろとは言わないが、何かまだ残っているもの、消滅しつつあるもの、消滅した痕跡、を自分の目で見て欲しい。 

僕はと言えば、ラサ駐在という特権を生かし、チベットの田舎ゴンパを巡り、風のツアーに強引にでも加え、そしてそのゴンパが少しでも注目されるようになり、お布施の流れができるようにしよう。 それを口実に、巡礼旅行たくさんできるし!(笑)

snow mountain
(本文とは直接関係ないが、チベットの田園風景に映える雪山・・・)

ps 書き忘れたが、田舎ゴンパでするお布施の額。 もちろん人によってまちまちであるが、僕が見かける限り、都会のラサっ子が田舎のゴンパで一度にするお布施は百〜数百元ほどではなかろうか。 そのときに、自分の名前、お祈りをしてほしいことを、お坊さんに言って、「お布施ブック」に書いてもらう。 そしたら、読経などのときに祈祷してもらえる。

Daisuke Murakami

8月31日 
天気 曇り時々晴れ (夜には雨が降ることが多いです)
気温 9〜20度
服装 上はシャツ/Tシャツの上に、薄手のジャンパー、長ズボンが一般的です。 紫外線はかなり強いので、日焼け対策は必須。 空気も非常に乾燥しています。 雨具は必要。 過ごしやすい気候になってきました。