ディープなチベット料理あれこれ [LHASA・TIBET]

今日は、僕が最近食べたチベット料理をご紹介します。

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(近所の茶館で。ここのトゥクパとスイートティーのクオリティは、風のチベット人ガイド・泰男のお墨付き。)

まず、おなじみのトゥクパ(チベットうどん)。 ヤクの脂肪や骨からダシをとり、麺は小麦から作られる。 スープはやや脂っこいが、赤唐辛子や漬物などと一緒に食べると、ヤクの「ヤクさ加減」が引き立ち、とても美味しい(店により当たりはずれあり)。 チベット人は、行きつけの茶館で朝や昼に食べることが多く、食後はスィートティー(甘茶)を喫する。 スィートティーはネパールのチャイなどと比べて香辛料が少ないせいか、素朴な味がする。 観光疲れ、巡礼疲れにはトゥクパ+スィートティーのセットに限る。  

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(ヨーグルトを狙うシロ)

そして、次はヨーグルト。
ヤクや牝牛を飼っている現地のチベット人は、自分の家で作ることが多い。 300グラムほどの容器で、2,3元ほどで売られている。 僕は今泊まっているホテルの屋上で、毎朝この新鮮ヨーグルトを食べながら、目を覚ますのが日課になっている。 愛猫のシロも大好きだが、すぐ下痢をするので、どんなに甘えてもあげないことにしている。 うっかりして食べられてしまうこともあるが、そんなときはしばらくは部屋に入れない。

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(羊の皮でできた袋にツァンパとバター茶を入れて、こねる。 
最後は手で固めるので、手形がくっきり。)

「バー」という食べ物をご存知であろうか。
ツァンパは聞いたことがある方も多いであろう。 ツァンパとは、日本で言うところの「はったいこ」や「麦こがし」である(大麦を炒って焦がし、ひいて粉にしたもの)。 「バー」というのは、ツァンパとバター茶を混ぜて練って作ったもの。 非常に栄養価の高い食べ物で、僕は普段こそ食べないが、巡礼などに行くと必ずお世話になる。 ツァンパは持参して、バター茶などはお寺なんかで恵んでもらい、自分たちでその場で練って作るのだ。 辛子をつけて食べてもよい。 腹持ちが非常によく、またツァンパだと携帯しやすいので、巡礼には欠かせない食べ物なのである。 味はかなり違うと思うが、お湯をかけて食べる、中世日本の「乾飯(ほしいい)」に相当するのではなかろうか。 「巡礼向き」という意味で。

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(神秘の粗食、ツァムトゥク。 隣にある塊は「バー」。)

さて、最後に「ツァムトゥク」。
ツァンパとトゥクパを合わせてツァムトゥク。 トゥクパとは言っても麺はなく、このツァムトゥクの主原料は、ツァンパ、水、塩で、ヤク肉や大根を細かく切ったものを入れて煮込むのである。 ヤク肉なしのこともあり、このツァムトゥクはチベット人にとっても「粗食」に入る。 粗食とはいっても今でも年配のチベタンは好んで食すことが多い。 おじいちゃん・おばあちゃんたちは、香辛料がたくさん入った最近のチベット料理より、ツァムトゥクのような伝統的な料理がやはり口に合うのだ。 ラサはここ数日急に寒くなってきたが、僕の泊まっているホテルのスタッフが、このツァムトゥクを作ってくれて、お客さんの一人もいないホテルのレセプションで皆で食べた。 体が温まるので、寒いときにはオススメである。 黄河のような色をしているが、意外にうまい。

以上、なかなかレストランでは簡単に注文できないチベット料理ばかり並べてみたが、実はこれらは普段チベット人が当たり前のように食べる料理である。 最近はチベットの観光ブームで、チベット料理も「伝統の発明」といっていいようなものがレストランで多く出されている感があるが、もしそこから一歩でも出たい方がいらっしゃるなら、僕に一言おっしゃってください。 ディープ(???)な、チベタン・フードの世界へ誘いましょう(笑)!

Daisuke Murakami

10月19日
(ラサの)天気 くもり
(ラサの)気温 3〜16度 
(ラサでの)服装 フリース、セーター、長ズボン。 夜は、ジャンパーやコートが必要かも。 日焼け対策は必須。 空気は非常に乾燥しています。 雨具も準備されるとよいでしょう。