ツアー名 ● キルギスの長閑な農村・チョンケミン谷を馬で往く9日間
2025年6月20日~6月28日
文・写真 ● 菅知範(大阪支店)※写真はお客様提供多数

トレック1日目のキャンプ地コル・ゴグール湖(標高約2,400m)にて集合写真
“中央アジアのスイス”と称される山岳国キルギスへ騎馬トレックに行って参りました。テントで眠っている間に雨、峠(3,250m)付近で雨と霰に遭った以外は、天候に恵まれて、緑広がる草原や透き通った湖、素朴な放牧風景、雪を被った天山山脈の白い峰々、そしてエーデルワイスをはじめとするカラフルな高山植物など美しい大自然をたっぷりと満喫しました。なるほど・・・スイスアルプスに引けを取らない絶景の連続でした。
当社ではキルギス乗馬ツアーの企画がいくかありますが、今回は首都ビシュケクの東に位置し国立公園に指定されているチョンケミン渓谷を訪れ、村内で1日練習、翌日から2泊3日のキャンプ生活をしながら「天山山脈の真珠」“イシククル湖”を目指し騎馬トレックを楽しむという内容でした。
陸路で国境越え!
現在は残念ながら日本からキルギスへの直航便が運航されていないため、今回はアシアナ航空を利用しソウルで乗り換えてカザフスタン最大の都市アルマトイへ飛び、市内のホテルで1泊。
翌日、アルマトイからチョンケミン渓谷へは長時間(約6時間)の車移動になりますが、果てしなく続く不毛の大地や緑美しい山岳風景、この時期に相応しくスイカを売る露店など、目にするもの全てが新鮮で移り行く景色をそれなりに楽しめます。さて国境通過ですが、すべての荷物を持って車から降り、スーツケースを押しながら数百メートルを歩かなければならず、少し苦労はしますが日本では決して味わうことのできない陸路での国境越えは冒険心をくすぐられます(尚、復路も同様です)。因みにカザフスタンの出国、キルギスの入国ともに手続きは簡単でパスポートを審査官に提示するだけです。

カザフスタンからキルギス国境へ向かう途中は、ほとんどが不毛の大地

国境通過の様子

途中の青果店

チョンケミン渓谷・ゲストハウス周辺の景色
可愛らしい素敵なゲストハウスに2連泊!
チョンケミン村で宿泊した「ケミン・ゲストハウス」は、大自然に囲まれたロケーションの良さは言うまでもなく、笑顔を絶やさない親切なスタッフたち、必要最小限(ベッド、トイレ、シャワー、洗面台)の簡素な設備ではありますが、装飾やマットが可愛らしいお部屋、美味しい食事、ただ味付けがいいだけでなく、盛りつけにもこだわって丁寧に料理されているのが伝わってきます。「このままここで何日間も滞在したい!」というお声が上がるほど、とっても過ごしやすく快適なお宿でした。

素敵な「ケミン・ゲストハウス」

ゲストハウスでの夕食

味良し!盛り付けもお洒落な食事

お粥やパン、フルーツまでバラエティに富んだ朝食
乗馬の練習日が1日あります!
騎馬トレックへ出発する前にチョンケミン村にて“日帰りの練習日”があるので安心です。馬に乗る前に馬方のリーダーがいくつか注意事項を案内してくれました。例えば「馬としっかりコミュニケーションを取って信頼関係を築くようにしてください」から始まり、乗馬中の姿勢、手綱の握り、使い方、馬方の指示なくご自身で絶対に乗降しないこと、そして最後に、進める際の“チョッ”やスピードを落としたり止める際の“ドゥルルルル”の掛け声についてなど。
午前中は村内を流れるチョンケミン川までのほぼ平坦な道を、午後からは見晴らしの良い丘までの登り下りを練習し、翌日からの騎馬トレックへ向けて準備が整いました。
※尚、乗馬用ヘルメットとチャップス(すね当て)は現地旅行社が用意してくれています。

馬方のリーダーから説明を受ける皆様

見晴らしの良い丘にて
いざ2泊3日の騎馬トレックへ!
出発の朝は、荷物を3種類に分けます。➀自分で背負うリュック(20~30ℓ程度/貴重品や雨具、水筒などトレック中に必要なもの)、②馬のサドルバッグに入れて運んでもらうカバン(30ℓ程度で防水がお勧め/主に着替えなど)、③キャンプへ持っていかないものを入れるスーツケースなど(鍵がかかるタイプが望ましい)に仕分けします。
ゲストハウスから車で約1時間半で乗馬ポイントに到着。既に私たちが乗る馬が待っていてくれました。いよいよ騎馬トレック開始です。私たち9名と日本語ガイド1名に対して、馬方さん3名にコックさん1名、調理補助およびテント設営スタッフが2名、そして計20頭(その内の4頭が荷馬)の馬たちが同行しサポートしてくれました。鞍の上にはマットを敷いてくれていますので、お尻の痛みはかなり軽減されます。この日は標高3,000mほどの峠を2回越えてテント地2,400mまでをトレック。途中の景色はもちろんのこと、この時期ならではの美しい高山植物が迎えてくれました。また、夜にはキャンプファイヤーを実施。炎を見つめながら火を囲んでゆったりとした時間を過ごしました。

荷造りをする馬方さん

騎馬トレックスタート地点

騎馬トレックの様子

素晴らしい景色を眺めながらお花畑の中を往く

カラフルな高山植物が咲くのは、この時期ならではの楽しみ

眼下にキャンプ地コル・ゴグール湖を望む

1日目のキャンプ地の様子
翌日は出発してすぐに、本ツアー最高地点コル・ゴグール峠(3,250m)越え。約1時間半かけて標高差約850mをゆっくりと登ります。出発の時点では快晴だったのが峠に近づくにつれて雲行きが怪しくなり、ついには雨、さらに気温が低いせいもあって霰に変わりました。馬たちもそわそわし始め、「これから先は慎重に進めないと」と心配したのも束の間、すぐに止み、その後は最終日まで暑いくらいの晴天に恵まれました。本当に山の天気は変わりやすく予想が難しいと実感させられた1日でした。峠を越えてからは、牛や羊を放牧している草原を抜け、比較的なだらかな道を進み、はるか遠くに翌日の宿泊地イシククル湖と天山山脈を望むと、ようやくこの日のキャンプ地に到着。すぐそばを流れる川の水で顔や頭を洗ったり、見晴らしが良い丘へ散歩するなど、各々のんびりと過ごしました。

本ツアー最高地点コル・ゴグール峠(3,250m)

羊が放牧されている草原を進みます

2日目のキャンプ地の様子
最終日は、イシククル湖を目指し半日のトレック。最初だけ登りますが、アップダウンもほとんどなく荒涼とした大地の中を進みます。ゴール地点の車道が見えてくると、「もうすぐ終わりなんだ」という安心感と同時に「お世話してくれたスタッフ、馬たちともお別れなんだ」という寂しさがこみ上げてきました。きっと皆様も同じようなお気持ちだったのではと思います。今回のご参加者は、ほぼ全員乗馬経験者ということもあって危険な場面もありませんでしたし、また途中で怪我や体調を崩す方もおられず無事に終えることができました。

遥か前方にイシククル湖と天山山脈を望む

荒涼とした大地を進みます

ゴールまであと一息!背後には雪を被った峰々が
テント泊が初めてという方もおられ、初日は「こんなに狭い中で寝るの?」、「荷物はどこに置くの?」、「寝袋はどう使うの?」と仰られていましたが、翌日はキャンプ地に到着するとすぐに夜に備えて荷物整理をするなど手慣れたものでした。食事はコックが美味しい料理を用意してくれますし、テントの設営や撤収もスタッフがおこないますので安心です。ホテルやロッジ泊とは違いテント泊でしか味わえない感動が必ずあります!

キャンプ中の食事とお昼のお弁当
騎馬トレッキング中は他の観光客と全く出会わなかったことで、より一層大自然を満喫できました。今後は観光客が増えてくることが予想され、現在のような素朴な風景は徐々に失われていく気がします。
旅の目的が同じなので参加者同士が仲良くなることもこのツアーの魅力と言えます。
お一人でご参加、乗馬初心者やキャンプが初めての方でも問題ございません。
大自然にどっぷりと浸りたい、馬旅に挑戦してみたい方に是非お勧めの旅です!