今週は中央アジア、天山山脈の山中にある国キルギスからの写真です。
キルギスは、7世紀、玄奘三蔵も天山越えで通ったと言われ、天竺に経典を求める道中、当時の突厥の王に会見したとの記録もあります。写真は、その場所に比定されているアクベシムの遺跡にほど近い、世界遺産ブラナの塔。そして、その足元に広がる謎めいた石の人たち。日本語では「石人」、現地?では「BALBAL」と呼ばれているようです。
石人の歴史は古く5世紀に遡るものもあるとか。ここには、キルギス各地で発見された石人を保存のために集めた屋外博物館となっています、
チュルク系民族の文化のひとつと言われるものの、その詳細はまだ未解明のようで、発見された場所近くからは人骨と馬の骨が出ていたため、一説には祖先の墓と言われています。また、石人の近くには複数個の石が置かれていることが多く、その人が戦いで殺した敵の魂をいさめるためのものだ、という説もあるようですが、まだまだ論争が続いているようです。
キルギスあたりでは、10世紀にカラハン朝というイスラム王朝が興り、シャーマニズムに近い石人の建立は徐々に消滅していったそうです。
しかし、一方でモンゴル帝国(13~14世紀繁栄)の下でも、盛んに建てられたようで、モンゴルにもよく似た石人を見ました。





















剣やグラスを持った石人も多く、当時の風俗を表しているとか、「仲間には酒を、敵には剣を」みたいな思想があるというようなことをどこかで聞いた気もします(根拠薄し)。ともあれ、グラスの中身が気になります。モンゴルで見た時は、「馬乳酒に違いない」と思っていましたが、キルギスあたりにくると、ワインの可能性も出て来るのかなと思ったりして。女性像もあると聞きました。キルギスあたりでは7世紀ごろからさかんに建てられたそうですから、この中の、どれかと玄奘三蔵は対面してるかもしれませんね。なんとも表情や人相が豊かで楽しくなってくる面々です。キルギスを訪れた際には一度会いに行ってあげてください。