添乗員報告記●温かい家族と一緒に迎えるパロ・ツェチュ祭とホームステイ9日間(2005年3月)

●2005年3月19日~3月27日  文●鈴木 雅子

ツェチュはブータンに仏教を伝えたグル・リンポチェをたたえるお祭りで、ブータンの人々にとって最大のイベント。今回はブータン最大と言われるパロのツェチュです。村中の人たちが集まり、観光客も多く訪れます。今回は私にとっても初めてのブータン。帰って来た人がみんな幸せな顔をしている理由を探りにいざ出発。

▼1日目

3/19(土)

成田出発の7名のお客さまとご一緒にまずはバンコクへ。現地で大阪からの1名とも無事合流。夜遅くに到着したためホテルに入ってすぐに休むことにしました。

▼2日目

3/20(日)

バンコクからブータンへはドゥルクエアーで向かいます。ブータンのパロへはカルカッタを経由する予定でしたが、なんとカルカッタに寄らず、予定より1時間も早くパロに着いてしまったのです。ドゥルクエアーは遅れることは多いのですが、まさか逆に早く着いてしまうとは!皆さんもちょっとびっくりされていました。空港から日本語ガイドのシンゲさんと合流して首都ティンプーへ。皆さん初めてのブータンに興味津々、ブータン初日は首都ティンプーの散策を楽しみました。

▼3日目

3/21(月)

ティンプーから車で約3時間半、くねくねの山道を東へひた走り、ブータンの冬の都プナカへ向かいます。途中標高3,200mのドチュラという峠を越えます。ここは晴れていればヒマラヤを遠望できることで有名です。今回は皆さん晴れ男・晴れ女(?)だったおかげで素晴らしい景色に出会うことができました。プナカに到着するとティンプーより標高が1,000mほど低いので暖かく感じます。まずプナカゾンを見学し、その壮麗な姿に一同感動。その後ウォンディフォダンへ。段々畑の中を通って子宝に恵まれるというお寺、チミラカンへ。途中農家の人達に道を教えてもらいながらたどり着きました。お寺の魅力もさることながら、ここまで来る途中に農家の間を通 り抜けたり、農家の軒先を覗き見し、暮らしぶりを垣間見れたのがなにより興味深い体験となりました。

▼4日目

3/22(火)

小学校を訪問 「写真撮って~!」

この日の朝ウォンディフォダンの小学校に行きました。ちょうど校庭で朝礼が行われていました。驚いたことにブータンでは英語で教育が行われていて、子供も流暢な英語を話します。簡単にコミュニケーションを取りながらデジカメを向けるとあっという間に子供達が集まって来て「写真を撮って」攻撃に遭います。とてもかわいらしい子供達との触れ合いを皆さん大変喜ばれていました。


▼5日目

3/23(水)

いよいよパロへ向かいます。パロ到着後、いくつかの名所を観光してホームステイ先のクンガさんの家へ。到着すると早速お父さん、お母さん、4人の娘さん達が迎えてくれました。普段は家にいない長女、次女もツェチュの休暇で実家に戻っていました。ホテルのような堅苦しさもなくとてもアットホームなので、みなさんリラックスモード。まるで田舎のおじいちゃんの家に居るような気分です。お母さん達が作ってくれるブータンの家庭料理も本当に美味しく、この頃になると皆さんだいぶ辛い物にも慣れて、辛くないと物足りないと言い出す方もいるくらいでした。

▼6日目

3/24(木)

眼下に広がる棚田

今日は断崖絶壁に建つタクツァン寺院を目指します。途中、車を下りてからはトレッキングとなります。あいにく雨が降ったり止んだりのお天気で雨具を着て歩きます。約1時間半でレストハウス到着。ここでタクツァン寺院と初対面し一同感動。みなさんまだまだ元気なので全員でさらに1時間弱歩いてタクツァン寺院と同じくらいの高さにある展望台へ向かいます。初対面の時も良かったですが、近づくとさらに迫力がありました。クンガさんの家に帰ると、お楽しみのブータン伝統石焼風呂。まず、石を数時間焼いた後、その石を風呂釜に入れてお湯を沸かします。これが結構力仕事で、何個も石を入れてくれるお父さんに感謝感謝。有難く入ってトレッキングで疲れた体を癒しました。


▼7日目

3/25(金)

パロ・チェチュ祭の会場にて

いよいよ今回の目玉であるツェチュを見に行きます。早朝5時まだ暗い中を出発。クンガさんの娘さん達も一緒です。一張羅でバッチリ着飾っていていつもとはまるで別人?のように綺麗です。会場に到着するともう人でいっぱい。仮面舞踊も見る人たちの人だかりがすごいこと!嬉しそうに見入っている人々の顔がとても印象的です。クンガさんの家へ戻って男性はゴ、女性はキラというブータンの民族衣装を着ます。日本人とブータン人は顔がそっくりなのでまるで皆さんブータン人みたいです。近くに住む農家の人を迎えて歌と踊りの大宴会が始まりました。最初はブータンの踊りを見ていましたが、そのうち皆さんも一緒に踊り出します。今度は負けじと皆さんで日本の歌を披露。「東京音頭」、「大きな栗の木下で」等に続き、なぜか「六甲おろし」まで大合唱。最後はシンゲさんのリードで全員で和になってブータンの踊りを踊りました。これが結構ハードで踊り終わったころには皆さん息が切れていました。ちょっと疲れてしまいましたが、ブータン最後の夜が楽しく深けていきました。


▼8,9日目

3/26(土)27(日)

頼れる日本語ガイド・シンゲさん

とうとうブータンを離れる日が来てしまいました。みなさん抱き合いながらクンガファミリーとの別 れを惜しんでいます。最後には全員で「ナメサメカディンチェー(どうもありがとう)!」と叫んでいました。某TV番組ウル●ン顔負けです。お世話になったガイドのシンゲさんとも空港でお別 れ。帰りのドゥルクエアーはちゃんと(?)カルカッタに経由してバンコクに到着。バンコクのホテルでしばらく休憩しました。この日の深夜に乗り継いで帰国の途へ。そして9日目の朝無事に日本へ到着しました。

ブータンは国民総生産量よりも国民総幸福量を重視していると言われています。それが国民性となって現れているのでしょうか、ブータンの人はとても明るくていつも笑顔です。見ているこちらが癒されていつの間にか微笑んでしまいます。ブータン人は日本人と顔立ちがそっくりなのと風景がどこか日本の田舎に似ているからでしょうか、不思議なことに初めてブータンに来たという気がしませんでした。いつの間にかおだやかで安らいだ気持ちになるこの国。幸せな気分になりたい人は絶対にブータンがお勧めです!


※風・通信No.23(2005年夏号)より転載